チアノーゼを放置すると、どんな危険があるの?

2017/12/21 記事改定日: 2019/8/23
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

チアノーゼとは、酸素が不足することで顔色や指先、爪、唇など、皮膚や粘膜が青白くなってしまうことです。病気が原因で起こることもあれば、寒さなどが原因のこともあります。
この記事ではチアノーゼが起こったときの対処法と放置することの危険性について解説しています。

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チアノーゼが起こるのはなぜ?

チアノーゼとは、血液中の酸素が不足してしまい皮膚や粘膜が青紫色に変化してしまうことです。紫藍症や青色症とも呼ばれます。血液中のヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を担っています。

ヘモグロビンは酸素と結合することで赤色になりますが、酸素と結合できないヘモグロビンは青みがかかった色になります。何らかの理由で酸素が不足し、酸素と結合できないヘモグロビンが増えると、その色が反映されて皮膚などが青白くなるのです。

原因

チアノーゼには、血液中の酸素濃度が原因で起こる中心性チアノーゼと、何らかの理由で血管の血流が阻害されて起こる末梢性チアノーゼ、ヘモグロビン異常が原因で起こる血液性チアノーゼの3種類があります。

原因の違い

チアノーゼの原因は、種類によって異なります・

末梢性チアノーゼの原因と特徴
  • 末梢血管の循環が悪くなると発症
  • 一時的に血流が悪くなることで発症することが多い
  • 寒い場所に長時間いたり、冷たい水や氷などに長く触れているとなる
  • 顔色が悪くなったり、くちびるが紫色になったりする
  • 原因になった状況や環境を変えることで回復することが多い
中枢性チアノーゼの原因と特徴
  • 気道閉塞や呼吸器障害、肺活量の低下など呼吸器系の障害が原因
  • 先天性チアノーゼ型疾患や動静脈奇形などにより肺循環系から供給される酸素を上手く取り込むことができなくなることで心血管系に障害が発生する可能性が高くなる
血液性チアノーゼの原因と特徴
  • メトヘモグロビン血症が原因になることが多い
  • 中毒性のもの、薬剤性のもの、先天性のものがある

チアノーゼを放置するとどうなるの?

チアノーゼ単独で死亡に繋がることはほぼありませんが、外因が無いのにチアノーゼの症状が出た場合は心臓か肺に異常が起きている可能性があります
放置しておくと酸素不足が進み、歩行が困難になったり、最悪の場合うっ血性心不全になってしまうおそれがあります。

さらに既に何らかの持病を持っている場合は、チアノーゼの全身合併症により他の病気の罹病率が上昇する危険があるほか、全身の機能に影響がでる危険性も高まります。
また指先の形が太鼓を叩く「バチ」のように先端だけが太くなる「バチ指」になることもあります。

チアノーゼが起こったときは、どう対処すればいい?

チアノーゼは重篤な病気が潜んでいる可能性もありますが、呼吸機能が未熟な新生児や乳幼児では泣きすぎや咳のしすぎ、鼻詰まりなどのような「身近なきっかけ」でも起こりうるものです。
慌てずに、抱っこして気持ちを落ち着かせ、鼻詰まりなどを取ってあげるとよいでしょう。

また、年長児や成人でチアノーゼが起こった場合は、身体を温めて洋服の締め付けなどを緩め、ゆったり椅子に腰かけて呼吸を落ち着かせましょう。
これらの対処法を行ってもチアノーゼが改善しない場合は緊急で治療が必要なこともありますので、早めに病院を受診しましょう。

チアノーゼに早く気づくために気をつけることは?

チアノーゼが起こると次のような変化や症状が現れます。

  • 唇や爪などが青紫色になる
  • 鼻血や歯茎などからの出血が起こりやすくなる
  • 目や皮膚が黄色っぽくなる(黄疸)
  • 息切れや呼吸苦がある
  • 意識がもうろうとして呼びかけへの反応が悪くなる
  • 動悸やめまいがある

最も分かりやすい症状は唇や爪の変色です。しかし、元から貧血症状が強い場合にはこれらの変色が目立ちにくいことがありますので注意しましょう。

また、とくに意識レベルが悪くなったり、動悸やめまいが、息切れなどが急激に現れたときは早急な治療を要することがありますのでできるだけ早く病院を受診しましょう。

おわりに:症状に気づいたら早めに対処・治療を始めよう

このように、チアノーゼ自体は軽度な症状ですので、症状が出たらまずは体を温めて安静にし、可能であれば酸素吸入することが大切です。
これらの処置を施しても効果が現れない場合は放置しておくと重大疾患を引き起こす可能性があるため、早めの治療と共に原因を究明することが大変重要です。

最初は軽い症状でも、そのままの状態が続くと手術をしても元に戻らない状態になってしまうことがあるので、楽観視せずに早めに病院で診察しましょう。

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