記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
暑い季節には注意が必要なのが「熱中症」ですが、熱中症にならないためには、普段からどんなことを心がけたらいいのでしょうか?効果的な対策をお伝えしていきます。
熱中症は、体に熱がこもったり急激に汗をかいたりすることで、体内の塩分、水分のバランスが乱れることが原因で引き起こされます。
人間の血管は皮膚に熱がこもると拡張され、血圧が下がりやすくなります。そうすると脳に行き渡る血流も減少するため、これが原因でめまい、失神などの症状が引き起こされることがあります。あるいは発汗により著しく体内の塩分が失われると、筋肉の働きにも支障が出てくるため、痙攣や痺れなどが出てくることもあります。
これらの熱中症の症状を引き起こす原因は様々ですが、一例としては夏場の炎天下で長時間運動をしていたり、脱水症状を起こしていたり、特に高齢者の方や乳幼児は暑さにうまく対応しきれなかったりすることが原因で発症することがあります。
熱中症は命の危険にもかかわることがある症状なので、事前の予防のために対策をとることが第一です。そのための方法として効果的なのが、水分補給です。正しい水分補給には体温を下げる作用、また発汗により乱れた水分と塩分のバランスを整える作用が期待できます。
熱中症対策のための正しい水分補給のポイントとしては、まず喉や体が渇く前に飲むと言うことです。ただし一気に、多い量の水分を補給するのではなく、こまめに、少量ずつの水分を補給することが大切です。
なお、体温を下げることが重要だからと言って、あまりに冷た過ぎる水分を補給するとかえって負担になるので注意しましょう。特に発汗が酷い場合には、水分だけでなく塩分の摂取も求められます。よってスポーツドリンクや経口補水液などが望ましいです。
外気温に対する感じ方と言うのは個人差があります。ただ体力がなかったりすると、気温に対して敏感になりやすくなり、暑さに体が負けやすい傾向にあります。そのため熱中症対策としては、暑さに負けない力をつけることも方法のひとつです。
具体的には、バランスの良い食事を摂取すること、そして運動により温度調節機能、発汗機能を鍛えると共に、体力の底上げをはかっていくことが効果的です。暑さが本格的になる季節の少し前から、運動習慣をつけておきましょう。
そして、睡眠も大切です。睡眠には、体を休めて疲労を回復させる作用があります。規則正しい時間に就寝・起床し、十分な睡眠時間を確保しましょう。
もし熱中症になってしまった場合、深刻な事態を避けるためにも迅速な対応が求められます。めまいやふらつき、あるいは気分の悪さなどが出てきたら、まずは少しでも気温の低い場所に移動してください。可能であれば衣服をはだけさせ、こもっている熱を逃すことも重要です。うちわやタオルなどがあれば、仰いで体温を下げるようにしましょう。水分補給も行ってください(ただし、本人の意識が混濁していたり、嘔吐があったりする場合は、無理に飲ませるのは危険です)。
なお、自力で水を飲むことができないなど、重症と思われる場合は救急車を呼ぶようにしてください。
命にかかわる恐れもある熱中症。発症しないためには炎天下での運動を避けることも必要ですが、それ以前に生活習慣を整えたり、水分をこまめに補給したりといったことを日頃から心がけることも重要です。こういった基本的なからだ作りを大切にしましょう。