記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/18 記事改定日: 2019/5/21
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
風邪は「風邪症候群」と呼ばれる感染症です。80~90%がウイルス感染によるものといわれていますが、なぜウイルスに感染するとせきやくしゃみ、鼻水といった症状が出てくるのでしょうか。
この記事では、風邪の原因ウイルスについて解説していきます。
風邪は正確には「風邪症候群」という病気であり、上気道(鼻やのどのこと)に急性の炎症が起きるものです。
風邪の原因はウイルスと細菌がありますが、80~90%はウイルスによる風邪であるとされています。その原因となるウイルスには200種類以上あり、どのウイルスに感染したかによって症状も変わってきます。
風邪のウイルスは、鼻や口、のどの粘膜で増殖してさまざまな症状を引き起こします。原因となるウイルスの中でも、特に多いのが以下の「ライノウイルス」と「コロナウイルス」です。
このほか
などがあります。
ウイルスと細菌は、どちらも体の中に入るとさまざまな病気を引き起こす点で共通していますが、まったく別の性質を持つものです。
細菌感染を起こした場合、細菌を死滅させるために抗生物質を服用することがあります。この抗生物質は細菌に対して効果を発揮するもののため、ウイルス感染のときに抗生物質を服用してもまったく効果を発揮しません。
また、細菌は単独で増殖することができますが、ウイルスは体内に侵入して初めて増殖できる(単独では増殖できない)という違いもあります。
一般的な風邪であれば、通常は1週間程度で自然に治ります。もし症状が長引く場合、細菌などによる二次感染や、合併症が起きている可能性があるため、注意が必要です。
主な合併症として、耳の鼓膜の奥にウイルスや細菌が感染して起こる「中耳炎」や、鼻の奥に炎症が及んで発症する「副鼻腔炎(蓄膿症)」、気管支に細菌が感染して起こる「気管支炎」などがあります。
また、気管支炎などから細菌が肺にまで拡がる「肺炎」、髄膜や脳に感染して発症する「髄膜炎」や「脳炎」、腸管系ウイルスによって起こる「心膜炎」「心筋炎」などの怖い病気につながることもあります。これらは子供や高齢者のように、免疫力が低い人に起こりやすい合併症です。
ウイルスは、風邪をひいている人の咳やくしゃみとともに飛散して、呼吸したときに鼻やのどに付着したり(飛沫感染)、その人に直接触るか、その人が触れた物にさわったときに手に付き、その後、口や鼻から取り込まれることで感染(接触感染)します。つまり、ウイルスは流行期の人混みや人の集まり、おしゃべりを通じて感染していくのです。
しかし、ウイルスが体内に入ったらといって、必ず感染する訳ではありません。体力のある人や免疫力の高い人の場合、ウイルスもなかなか入り込めません。つまり、ウイルスが感染するかどうかは、自身の体力や免疫力の状態がカギとなるのです。
免疫力は、疲れやストレスを溜め込んだり、睡眠不足もしくは睡眠の質が悪かったり、バランスの悪い食事や運動不足、喫煙などによって下がると言われています。風邪が流行しているシーズンは特に気をつけましょう。
ウイルスは環境によって活性が変化するため、より活性が高くなりやすい環境では感染しやすく、活性が低い環境になると感染しにくくなります。
ウイルスの多くは乾燥して寒い環境になると活性が高くなり、適度な湿度と温度が保たれた環境では活性が低下します。
ウイルス感染を予防するには、冬場など空気が乾燥しやすい時期は加湿器や濡れタオルなどで適度な湿度を保ち、空調で室内を適温にするようにしましょう。また、外出時にはマスクを着用すると感染予防になるだけでなく、のどや鼻の加湿につながりますのでおすすめです。
一般的な風邪は、1週間くらい安静にしていれば自然治癒します。ただ、子供や高齢者、ひどく疲れている人や、免疫疾患を抱えている人の場合、気管支炎などの合併症を引き起こす可能性があります。
風邪は特効薬がないため、予防を徹底することが重要です。普段から手洗いやうがいを心がけたり、外出時はマスクを着用したりして、ウイルスから身を守りましょう。