アルコール性肝障害でよく見られる「腹水」の治療法とは?

2018/1/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

アルコール性肝障害とは、お酒の飲みすぎが原因で起こる肝障害であり、特徴的な症状として腹水があります。この記事では腹水の治療方法について解説しています。なぜ腹水が溜まるのかというメカニズムについても触れているので参考にしてください。

アルコール性肝障害について

アルコール性肝障害とは、酒を継続的に飲み過ぎていることが原因で、肝臓がダメージを受けて、アルコールを分解する機能などを含む、肝臓全体の働きが衰える病気の総称です。

アルコール性肝障害は、肝臓に過剰な脂肪が付着する「アルコール性脂肪肝」の状態から始まります。そこから、幹細胞が破壊される「アルコール性肝炎」や、肝臓に線維組織が増えていき支障をきたす「アルコール性肝線維症」に進行することがあります。最終的には肝臓内部の線維化が進行した「アルコール性肝硬変」に至り、生命の危機にも陥りかねません。

腹水とは? どんな病気の人に現われるの?

腹水とは、腹の中にたんぱく質を含む体液が溜まっている状態のことです。少ない量でしたら自覚症状は出ませんが、腹水が多量になると腹が膨れて消化器官が圧迫され、食欲がなくなっていきます。さらに進行すると、肺が圧迫されて息苦しくなったり、くるぶしのあたりにも腹水が染み込んでむくんだりするようになります。
腹水は、肝硬変などの影響で血液中のアルブミンという成分が少なくなることで血管の外へ水分が漏れ出てしまったとき、その水分を再び血管へ戻す機能が失われます。その戻れなくなった水分が腹水として蓄積されるのです。

腹水は、肝硬変の代表的な症状であり、がんや膵炎、結核性腹膜炎、心不全、腎不全でも腹水が起きることがあります。

腹水が溜まったらどうやって対処するの?

まず、触診によって診断します。腹を軽く叩いて鈍い音が聞こえると、腹水の症状が疑われます。超音波検査やCT検査で腹の内部を調べ、実際に腹水の存在が確認できたら、治療に入ります。

腹水の治療には、「生活改善」「薬物療法」「手術」の段階があります。
生活改善としては、ベッドで横になって安静にしておくことや、食事の塩分を減らすことなどを行います。アルコール性肝障害の症状として腹水が現れているのでしたら、禁酒を心がけます。
薬物療法では、利尿薬の服用で水分を積極的に体外へ排出し、体内で不足したアルブミンを点滴で補充することもあります。

利尿剤には、アルダクトン®やサムスカ®などがあります。ただし、体液が体外へ出すぎてしまうと、心拍出量などが低下する危険がありますので、注意しなければなりません。

腹水治療の手術法として代表的なのが「腹腔穿刺」です。これは腹部に針を刺し、直接腹水を体外へ抜いていくものです。ただし、腹膜炎によって発熱や腹痛などの合併症を引き起こしたり、腹水を抜きすぎてしまうとショック状態に陥るおそれがあります。

おわりに:アルコール性肝障害にならないように、日頃から生活習慣に気をつけよう

アルコール性肝障害は、肝硬変まで進行してしまうと命の危険にもさらされる恐ろしい病気です。ただ、脂肪肝などの初期の段階であれば、酒をやめるだけで治癒することも多いといわれています。酒の席は楽しいものですが、くれぐれも控えめにし、たびたび休肝日を設けるなどして、肝臓に過度な負担がかからない生活習慣を心がけましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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