破傷風の予防接種は何回受ければいいの?料金はいくらくらい?

2017/10/24 記事改定日: 2019/6/3
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

破傷風は死亡することもある感染症です。予防するにはワクチンの接種が非常に重要ですが、接種によってどれくらいの予防効果が得られるのでしょうか?
この記事では、破傷風の予防接種のスケジュールや注意点について解説していきます。

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破傷風はどのように感染するの?

破傷風は、主に土の中に生息している破傷風菌が、ヒトなどの動物の傷口から体内に侵入することによって感染します。破傷風に感染すると、3~21日程度の潜伏期を経て様々な症状を引き起こします。重篤化すると筋肉硬直や全身痙攣、歩行障害などの症状があらわれ、最悪の場合には呼吸困難に陥って死に至ります。

破傷風は、動物にかまれたときや、錆びた釘が皮膚にささったときにできる傷口からの感染例がよく知られていますが、免疫がなければちょっとした傷からでも菌は侵入します。ただし、他の細菌感染症のようにヒトからヒトへ感染することはありません。

破傷風は日本では1950年に1915名が感染し、そのうち1558名が死亡するという致死率が高い感染症でしたが、ワクチンの定期接種が実施されている現在では赤ちゃんの発症例は著しく減少しています。ただし、徐々に免疫がなくなる時期にさしかかる30歳以上の人を中心に、年間で100人前後が発症する病となっています。

予防接種って効果あるの?

破傷風には、破傷風トキソイドワクチンを使った予防接種があります。

医療機関から推奨されているスケジュール通りにワクチンの接種を受けると、100%に近い確率で免疫を獲得でき、最大で10年程度効果が持続します。
また、10年の期間が過ぎても、免疫が成立してから25~30年程度は免疫記憶が残っており、この期間内にワクチンの接種を受ければ再度免疫を獲得することができます。

破傷風ワクチンの効果は早ければ30代の途中で完全に切れてしまいます。
効果が切れても、日本国内であれば傷口をつくらないように気をつけていれば感染する可能性は低いです。

しかし、出張や旅行で海外へ行って不衛生な環境に身を置くことになれば感染するリスクが高まります。
ワクチンの効果がなくなったらできるだけ早く予防接種を受けて再度免疫を獲得することをおすすめします。

予防接種のスケジュール

破傷風の定期予防接種はDTPワクチンが用いられ、接種時期は1期と2期に分かれます。

定期接種

1期では生後3ヶ月以上の子供に1回目の接種を行い、その後3~8週の間隔であと2回接種します。ここまでが初回接種と呼ばれており、3回目の接種が終わってから1年から1年半後に追加接種を受けます。2期では、11歳から13歳までの子供にDTワクチンを接種し、これが終われば長期間抗体を維持することができます。

任意接種

定期予防接種の非対象者は、沈降破傷風トキソイドワクチンの接種で対応します。まず初回接種として4~8週の間隔をあけて2回筋肉注射をし、2回目の接種から約1年後に追加接種を受けます。免疫は追加接種の段階で成立し、あとは10年間隔で1回ワクチンの注射を受ければ生涯免疫能が維持されます。

予防接種の料金はどれくらい?注意点はある?

医療機関によって異なりますが、破傷風の予防接種は一回につき3000円程度が相場です。ただし、乳児期の定期接種として指定されている四種混合ワクチンは、指定されて期間であれば無料で摂取することができます。

また、破傷風の予防接種では、接種部位の発赤・腫れ・熱感・痛みなどが生じたり、発熱、倦怠感、関節痛、下痢などの副反応が見られることがあります。なかには重篤なアレルギー症状が見られることもあり、このような既往がある場合は次回以降の接種ができないケースがあります。

また、その他にも免疫不全の人も接種を受けることはできず、心臓や腎臓、肝臓の病気がある人や高齢者、妊婦などは慎重な投与が必要となります。

感染してしまったと思ったときは、どうしたらいい?

破傷風菌はわずかな傷口があるだけでも体内に侵入してくる可能性があります。菌に感染すると、強い肩こりや倦怠感、微熱などがあらわれ、2~3日後には顔面の強い引きつりや痙笑、牙関緊急(咬筋の緊張や痙攣からくる開口障害)や舌のもつれなどからくる発語障害があらわれるようになります。

これらの症状がみられたらすぐに最寄りの医療機関で医師の診察を受けましょう。

医療機関で破傷風の診断を受けた場合は、原則として入院をして治療を受けることになります。早く症状を自覚して医師のもとへ行けば、その後重篤化しても一時的なもので終わり、回復へと向かう可能性が高くなります。

なお、破傷風から完治しても抗体はつくられないので、回復した後は予防接種を受けて免疫をつくっておきましょう。

おわりに:破傷風の予防接種は成人でも接種可能!海外渡航予定のある方は早めに申し込みを

破傷風の予防接種は基本的には赤ちゃんや子供が対象ですが、希望するのであれば成人でも接種することができます。子供の頃に接種をしても、30歳を過ぎたあたりから抗体が徐々になくなってくるので、特に海外に渡航予定のある方は再度接種することをおすすめします。

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