記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/20 記事改定日: 2019/9/18
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
アキレス腱とかかとの骨の付着部で炎症が起きることで、足首やかかとに痛みが現われるアキレス腱滑液包炎(ハグランド病)。その症状・原因・治療法などを、この記事で詳しく紹介します。
アキレス腱滑液包炎(あきれすけんかつえきほうえん)はハグランド病とも呼ばれ、アキレス腱の踵骨(しょうこつ:かかとのほね)付着部にある滑液包で起きる炎症のことです。アキレス腱の踵骨付着部には、骨や他の組織との摩擦を少なくするためのクッション剤のような役割を果たす滑液包が存在しますが、この滑液包に過度の摩擦や圧迫が加わることで炎症を起こします。
代表的な症状として、アキレス腱踵骨付着部や周囲の圧痛、腫れ、熱感、足先を上に向けるように足首を曲げたときにアキレス腱の伸張によって現われる痛みなどがあります。
アキレス腱滑液包炎の多くは、靴のかかと部分に圧迫や摩擦などの刺激が加わることが原因で起こります。中でも靴のかかと部分の形が足に合わないことが要因となりやすく、靴を新調したときや履き慣れない靴で長時間過ごしたときなどに発症することが多いです。
また、かかとの骨が通常よりも後上方に大きく盛り上がった形をしている人や、ハイアーチ(足のアーチが高く、土踏まずの部分が持ち上がっている状態の足)あるいは内反足(生まれつき足首から足先の部分が内側に曲がってしまう病気)の人は、骨格によって踵骨の後ろの部分が盛り上がり、靴による圧迫や摩擦を受けやすいことから、滑液包炎を発症するリスクが高いといわれています。
ヒールパッドやサポーターを使って踵骨の角度を変え、隆起部分が前方へ角度を変えるように調整したり、靴をかかとの形に合ったものに替えたりすることで症状を改善することが多いです。
患部が炎症を起こして痛みがある場合は、患部を固定して傷が付かないようにする方法や患部を冷やす治療法で痛みを和らげつつ、1週間ほど安静にして様子をみます。また、抗菌薬や鎮痛薬の服用によって炎症と腫れを軽減することもできます。
アキレス腱滑液包炎を効果的に予防する方法は、滑液包に刺激を与えないことです。かかとの形にフィットした靴を履いたり、パッドやインソールなどを使ってかかとへの負担を減らしましょう。
また、ふくらはぎのストレッチをすることや筋肉を鍛えることも効果的だと考えられています。ふくらはぎは歩行、走行、かがむ、座るなどといった、日常生活における欠かせない動作を行う際になくてはならない筋肉ですが、大きな力が瞬間的にかかったり、圧迫や刺激が続くことで炎症などの障害が起こりやすい部位だからです。