小脳梗塞は小脳に発生する脳梗塞。症状・原因・治療法を解説!

2017/10/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

小脳に発生する脳梗塞である「小脳梗塞」。あまり聞きなれない病名かもしれませんが、現れる症状は脳梗塞と同じなのでしょうか?小脳梗塞の症状や原因、治療法について詳しく解説していきます。

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小脳梗塞とは?

脳の小脳と呼ばれる部分で起こる脳梗塞は「小脳梗塞」と呼ばれています。小脳は後頭部の下部、大脳の尾側にカリフラワー状に存在している器官で、身体が平衡を保てるように調節する機能を司っています。この器官内を走っている血管のどこかが詰まり、血液が十分に行き届かなくなることによって発症するのが小脳梗塞です。

小脳梗塞の発症頻度は、脳梗塞全体のうちの2~6%程度で、前期高齢者に患者が多く、女性より男性の方が多く発症するといわれています。比較的起こりにくいといえる疾病ですが、小脳の血管が詰まった状態が長引くと様々な症状があらわれるようになり、早期に発見して治療をはじめないと、最悪の場合には死に至ります。

代表的な症状について

脳梗塞の症状としては、片側の手足が痺れたり、力が入らなかったりする症状がよく知られており、小脳梗塞の場合もこの症状が出ますが、その頻度は他の脳の部位で生じる脳梗塞よりは少ないといわれています。

また前述の通り、小脳は身体の平衡機能を司っていることから、小脳梗塞にかかった場合は平衡機能の維持に影響が出て、まっすぐに歩こうとしてもフラフラしてしまったり、回転性のめまいが起こるようになります。この他にも、音のリズムがとれなくなったり、身体を動かそうとした時に初動が遅れるようになったり、スムーズに運動ができなくなるなど、様々な機能障害が起きるほか、頭痛や嘔吐といった他の病気でも起こる症状もあらわれることがあります。

どうして小脳梗塞になるの?

小脳梗塞は血液が関係する病気です。そのため、発症の原因には日頃の生活習慣が大きく関係してきます。

例えば、肉をはじめとする脂質の多い食べ物や、お米やパン、麺類など糖質の多い食べ物や飲み物を過剰に摂取すると、血流の悪化をまねき、小脳梗塞を引き起こす原因となります。

また、小脳梗塞を発症する原因は食生活だけに限りません。過度の喫煙はタバコに含まれているニコチンの作用によって、過剰な飲酒はアルコールの作用によって、血管を縮ませ、血液の流れを悪化させます。そして糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病にかかることも、小脳の血管を詰まらせるリスクを高めます。

後遺症が残らないよう、早めに病院に行こう

近年、テレビや新聞で取り扱われることによって、脳梗塞は早期に発見できるほど予後が良好になることがよく知られるようになりましたが、これは小脳梗塞においても同様です。

小脳梗塞の治療は最初は薬物療法が中心で、脳を保護する薬や浮腫を抑える薬、血液をかたまりにくくする薬、血液の濃度を下げる薬などを投与する治療法をとり、症状の悪化を防ぎます。発症から3時間以内であれば、血栓を溶かす作用がある薬物を投与する治療法をとることで、脳の血流が回復する可能性があるので早期発見が非常に重要です。

薬物による治療が一段落した後はリハビリを開始し、少しずつ活動の強度をあげていきます。このとき後遺症がなければ、リハビリによって発症前とほぼ同程度に身体の機能が回復します。もし、めまいやふらつき、頭痛、吐き気などが気になりだしたら、小脳梗塞にかかっている可能性があるので、早めに病院へ行って医師の診察を受けましょう。

おわりに:小脳梗塞は迅速な対応が予後のカギを握る。回転性のめまいなどに注意を

一般的な脳梗塞では初期症状として手足の痺れなどが現れますが、小脳梗塞の場合はその発生頻度が比較的少ないとされています。ただ、回転性のめまいや運動障害などの異変が見られたら、小脳梗塞の疑いがあるのですぐに病院を受診してください。発症後すぐに対処ができるかどうかが、その後の予後を左右します。

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