記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
特にご自身の身長がそこまで高くない方で、「子供は背が高くなってほしい!」と願う方は少なくありません。ただ、「身長は遺伝によって決まる」という話をよく耳にするのも事実。果たして子供の身長を伸ばすために、できることはあるのでしょうか?
「親の背が高いと、子供の背も高くなりやすい」といわれるように、確かに遺伝は身長を左右する要素のひとつではあります。ただ、最近の研究では「身長は後天的な要素で決まる」という研究結果を発表する研究者もいます。つまり、少なくとも遺伝だけで身長が決まるわけではないのであれば、子供の身長を伸ばすアプローチをする意味はあります。
子供の身長を伸ばすのに必要な要素は、「しっかりとした栄養を摂ること」「体を十分に休めて成長ホルモンを分泌させること」「筋肉や骨の成長を促進させるために適度な運動をすること」とされています。なお、いずれか一つだけを行うよりも、いくつかの要素を満たす生活をした方が高い効果が期待できます。
子供の身長を伸ばすために必要なことは、兎にも角にも「十分な栄養を摂取すること」です。たとえば、昔の日本人は平均的な身長が低かったのですが、現在は非常に高くなってきています。これは、食生活の変化が非常に大きく関係していると言われていて、要は摂取する栄養素や摂取量の違いが関係しているということです。
身長を伸ばすために必要な成分と言われている「カルシウム」「タンパク質」などは、古くから子供に積極的に与えるべき成分として知られています。しっかりと骨と筋肉が成長できる環境を整えてあげることによって、成長を阻害する要素を排除しやすくなり、その結果として身長が伸びやすくなるという仕組みです。ただし、大量に栄養素を摂取すれば確実性が増すというわけではありません。
子供の身長を伸ばすためには、成長するために必要な栄養素をしっかりと摂取することが大切です。しかし、いかに多くの栄養を摂取することができたとしても、摂取した栄養が体に行き渡らなければ意味がありませんし、摂取した栄養が効果的に体内で使用されなければ意味がないわけです。つまり、単に栄養を摂取するだけではなく、「効率よく消費される状況を作る」ことが重要です。
そして、その方法として最も簡単かつ効果の高い方法が「寝る」という行為です。人体は睡眠をとることによってさまざまな効果を発揮します。体力を回復することはもちろんですが、「成長ホルモン」が分泌されることによってその効果が発揮されるとともに、体の成長が促進されます。
成長期に体を効率よく成長させるためには、栄養や睡眠だけでなく「適度な運動」をすることも大切です。といっても、「運動をする」という行動自体が重要なわけではなく、「体を成長させるためにしっかりと栄養素を体中に循環させる」ということが重要です。そのため、選択する運動には一定の条件を設けて判断することが必要です。よく言われているポイントとしては、バスケットボールなどの縦に伸びる動きが多い運動をしていると子供の身長が伸びやすくなります。
なお、関節に負担がかかる運動は避けた方が無難です。具体的にどの運動がそうなるのかということではなく、「動作的に縮こまることが多い運動」は成長を阻害する可能性があります。
いかがでしょうか。子供の身長は両親の身長によって左右されるという側面も確かにありますが、食事・睡眠・運動の3つの柱を整えれば、身長が伸びやすくなるとも考えられています。「これをやれば必ず伸びる」というわけではありませんが、特に成長期のお子さんは日頃の生活習慣が非常に大切なので、ご紹介したことをぜひ実践してみてください。