記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
赤ちゃんの皮膚に、いちごのような見た目の赤いあざが現れたら、それは「いちご状血管腫(乳児血管腫)」かもしれません。今回はこのいちご状血管腫について、具体的な特徴や治療法などをご紹介していきます。
いちご状血管腫は、赤ちゃんが生まれてからしばらく経った頃に、急に皮膚に赤いあざのような斑点ができる病気です。これは血管が何らかの原因で異常増殖している状態で、母親から受け継がれた増殖抑制遺伝子が欠乏して起こると考えられています。
いちご状血管腫は血管が異常に増殖している病気なので、患部の皮膚が隆起して膨らんだ感じになり、表面の皮膚はいちごのようにぼこぼこの状態になります。体中のどこの皮膚にもできることがあり、特に首から上の部位にできることが多いです。また、皮膚だけでなく内臓にできることもあります。
大きさは1cmほどの小さなものから、10cmを超える大きなものまであり、形も様々です。1か所にできることが多いですが、何か所にもできることもあります。
いちご状血管腫は、生後数日~1か月の間にできることがほとんどです。突然皮膚に赤いあざのような斑点ができ、それが徐々に大きくなって膨らんだようになっていきます。大きくなる期間は通常1年ほどで終了し、その後はそのままの大きさで経過します。
そして5~7歳に成長すると、今度はいちご状血管腫が小さくなっていきます。徐々に小さく膨らみもなくなり、最後には赤みもなくなり皮膚の色と同じ色に戻ります。しかし、完全に消えるわけではなく、いちご状血管腫があった班痕が残ります。
50%程度の症例はほぼ皮膚と同じ色に戻りますが、中には赤みが残ったり、皮膚が白っぽくなったりすることもあります。頭皮にできた場合、その箇所の毛髪の密度が低くなることもあります。
小さなものやできた場所が目立たない場所のものなどは、経過を見ているうちに自然と消失するので、治療の必要はありません。しかし、何らかの不都合がある場合には、治療を開始することになります。
治療法としては、β遮断薬などによる投薬治療と、レーザーを照射する治療法、手術があります。どのような時に治療が必要になるかというと、いちご状血管腫が顔面にでき、外観に大きく関わっている場合や、目や耳の近くにできたことで目の見えにくさを伴ったり、耳の聞こえにくさにつながる可能性がある時です。口や鼻の近くにできた時には、場合によって呼吸がしにくくなることもあります。また、場所によっては成長する時に器官の変形を起こしてしまうこともあります。
いちご状血管腫があることで日常生活に支障をきたしたり、健康に害を及ぼす恐れがある時には治療を行いますが、治療を開始する時には医師としっかり相談することが大切です。そして治療期間はいちご状血管腫の場所や大きさによって様々であり、治療効果のあらわれ方にも個人差があるので、心配事や不安がある時には適宜医師と相談しながら治療を継続しましょう。
また、治療を途中で止めてしまわないことが大切です。いちご状血管腫は再発をすることがある病気です。少し良くなってきたからといって、途中で治療を止めてしまうと、また元の状態に戻ってしまうことがあります。医師の指示を守ってしっかりと治すことが大切です。
いちご状血管腫は、小さいものであれば自然治癒することもあります。しかし、できた場所のせいで別のトラブルが出てしまった場合は、専門の医療機関での治療を検討しましょう。