記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/15 記事改定日: 2019/12/2
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
MRI検査などで突然判明することの多い「海綿状血管腫」。脳にできる血管腫のため、診断された場合には、おそらく多くの人が治療や今後の経過について不安を抱くでしょう。
果たして海綿状血管腫とはどういった病気なのでしょうか。
海綿状血管腫とは、脳の中に異常に拡張した血管が密集して存在している血管奇形のことです。
MRI検査や脳ドックなどの機会に見つかることが多く、腫瘍とは異なり増殖することはありません。1か所のみにできるのが一般的で、大きさも1cm以下の小さいものがほとんどです。
海綿状血管腫はMRIなどを受けた際などに偶然発見される場合が多く、ほとんどの場合で症状が出ません。
症状が出る場合は、てんかん発作や脳出血などが起こることが多いです。
ただ、以下のように海綿状血管腫がどの部分にできたかによっても、その後の症状に違いが現れます。
なお、脳幹にできた海綿状血管腫は、出血が起こりやすいとされています。出血を何度も繰り返していると、重篤な症状を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。
出血のほかには、顔面麻痺、半身麻痺、二重にものが見える、ふらついてしまう、めまいがする、ものが飲み込めない、記憶障害といった様々な症状が現れます。
海綿状血管腫は、症状が出ていない場合には治療する必要はありません。
脳出血しても再出血のリスクが低いため、一度だけであれば経過観察になることが多く、少量の出血であれば複数回出血の経験があっても手術をせずに経過観察になることがあります。
については、手術での摘出が検討されます。
てんかん発作に対しては、抗てんかん薬などで発作を抑え、薬でコントロールできない難治性のてんかんについては手術での腫瘍の切除が検討されます。
海綿状血管腫は脳の様々な部位にできる可能性があります。手術しやすい部位にできるものは基本的に手術で治療しますが、脳の深い部位にあるものなどは手術が難しく、さまざまな合併症のリスクがあります。
このようなケースでは放射線治療が選択されることがあります。
一般的には病変部のみに限局して放射線を照射できる「ガンマナイフ」や「サイバーナイフ」と呼ばれる機器を用いた治療が用いられます。
ただし、効果は人によって異なり、正常な脳の部位にも放射線が照射されるリスクがあり、神経障害などの合併症を引き起こすことがあります。
治療を行う際には医師とメリットやデメリットについてよく話し合って決めるようにしましょう。
大半の海綿状血管腫は、症状が出ていないようであればそこまで心配する必要はありません。ただし、頻繁な脳出血やてんかん発作など危険な症状がみられた場合は、手術や治療をする必要があるので、すぐに病院を受診してください。