記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻から血が出る「鼻出血」。非常にありふれた症状ではありますが、この鼻出血はいったいなにが原因で引き起こされるのでしょうか?対処法と併せてご紹介していきます。
鼻出血(びしゅっけつ)とは、鼻の穴の内壁粘膜・血管がなんらかの理由で傷がつくことにより発生する出血です。これは年齢や性別に関係なく突然起こることもあるもので、おおよその場合には3~5分程度で出血は止まります。
鼻血が出ることが多い場所としては、鼻の穴の入口より約1cmのところに位置する「キーゼルバッハ」という部位があげられます。キーゼルバッハは指を少し入れて内側にある中央の硬い軟骨状のところで、毛細血管が集中して存在する場所でもあります。鼻出血全体において、キーゼルバッハからの出血の割合は8割を超えます。
ほかに鼻出血が発生する場所として、鼻の奥にある「蝶口蓋(ちょうこうがい)動脈」部位もあげられます。こちらからの出血は病気などの内的要因によって起こるもので、鼻からだけではなく口からも多量の出血が起こることもあります。血液が鮮紅色で吹き出ているような状態であれば動脈性鼻出血、暗赤色でじわーっと出ている状態であれば静脈性鼻出血となります。
鼻出血は、鼻の穴の内壁粘膜がもともと繊細な性質を持っていることから比較的起こりやすいですが、キーゼルバッハ部位には特に繊細な毛細血管が集中しているため、ちょっと指でいじったり鼻を強くかみ過ぎたりといった刺激でも粘膜が損傷し、出血を引き起こしやすくなります。
また、風邪を引いていたりアレルギー性鼻炎を患っていたりすると鼻の粘膜が充血した状態が続き、傷つきやすくなっているため、そのときに強く鼻をかんでしまうと鼻血に繋がったりします。
そのほか外部からの原因として、スポーツ・交通事故などで顔面を打ったり、ケガをしたりした時に鼻血が発生することもあります。
なお、血圧が上がった時にも鼻出血は起こりやすくなります。動脈硬化・高血圧の人は血管が弱っていることがありますので、過度の興奮や緊張、飲酒、のぼせなどに気を付けましょう。これらの場合に起きる鼻出血は、鼻の奥のほうで起こります。ほかに、鼻腔腫瘍・上顎癌といった腫瘍が原因となる鼻血もあります。
鼻出血の止め方は、外的要因なのか病気によるものなのかによって違ってきますが、外からの刺激による場合には、出血部位を圧迫する圧迫止血法によって止血させます。具体的には、座って少しうつむき加減の姿勢を取り、小鼻を若干強めに最低3分間(できれば10分間以上)つまみます。この時、目頭・骨部分をつまんだり、首の後ろを叩いても効果はないことを覚えておきましょう。なお、顔を下へ向けすぎたり、逆に上を向いたり、鼻を吸ったりすると血液が口内へとまわってしまい、吐き気や呼吸困難に繋がることもあります。また、小さな子供や高齢者が鼻出血を起こした場合は、仰向けの体勢は避けましょう。肺へ血液が流れてしまう可能性が高くなるためです。
この圧迫止血法で鼻血が止まったら、患部をいじらずに安静にします。鼻をかんだりほじったりすると、その刺激でまた出血することが多いので注意しましょう。鼻出血後約1週間は、激しい運動や熱い風呂、飲酒など、患部に刺激となる行動は控えてください。
鼻の粘膜は非常に繊細なため、ちょっとの刺激でも鼻出血が起きることがあります。もしも鼻出血が起きてしまったら、ご紹介した対処法をぜひ試してみてくださいね。