記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/10 記事改定日: 2020/7/30
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
真珠腫性中耳炎とは、鼓膜が変形したところに耳垢が溜まり真珠のような耳垢を形成してしまう病気です。この病気は、原因から予防することが大切ですが、原因とはいったいなんなのでしょうか?真珠腫性中耳炎の原因や症状など基礎知識を紹介しています。
子供は耳管が未発達で短いため、中耳炎になりやすいです。中耳炎は、鼻とつながった通路である耳管を介して中耳に炎症が起こる病気であり、風邪のウイルスや細菌が入ってくることで発症します。
真珠腫性中耳炎は、中耳炎を何度も繰り返すことで発症し、耳垢が鼓膜の奥で堆積したものが真珠のように見えることからこの名が付いています。
真珠腫性中耳炎になると、中耳に真珠のように固い塊が形成されます。中耳は音の聞こえに関わる重要な部位であるため、聴力の低下や耳閉感などの症状が現れるようになり、繰り返される炎症によって膿みのような耳垂れが出ることもあります。
進行して中耳内の構造を破壊しながら真珠腫が大きくなっていくと、著しい難聴やめまいなどの症状を引き起こすようになり、中耳付近を走行する顔面神経や脳にまでダメージが及ぶと顔の筋肉が正常に動かなくなる顔面神経麻痺や髄膜炎、脳膿瘍などを引き起こすこともあります。
真珠腫性中耳炎は、鼓膜の一部が奥に入り込んで袋状になり、その中に耳垢が溜まり真珠のような耳垢を作ります。真珠腫の周りを丁寧に清掃して薬物治療を施せば一旦症状が治まりますが、再発や増殖する可能性もあります。
症状がひどく日常生活に支障がある場合や何度も繰り返す場合は、外科手術で真珠腫を完全除去し、再形成が提案されることもあるでしょう。
中耳炎が繰り返されて真珠腫性中耳炎にまで進行したケースでは、更なる進行による聴力低下などを防ぐため真珠腫を切除し、中耳の構造を修復する「鼓室形成術」を行うことが望ましいとされています。
また、真珠腫を切除する手術方法は、中耳につながる外耳道も同時に大きく切除する「オープン法」と外耳道を極力残す「クローズ法」があります。
クローズ法の方が身体への負担は少ないと考えられていますが、真珠腫は取り残しがあると再発する可能性があるため、重症度や真珠腫のサイズによってはオープン法による手術を余儀なくされることもあります。
真珠腫性中耳炎は中耳炎が原因になるので、中耳炎になったときは早めに治療し、発症や再発を予防することが予防になります。
中耳炎を予防するには、以下のことに気をつけましょう。
真珠腫は、中耳炎を繰り返すことが原因になることもあります。生活習慣を見直して、中耳炎にならないように注意しましょう。また、中耳炎になったときは早めに治療をすることでリスクを減らせます。治療を長期化させないためにも、耳に違和感があるときはすぐに耳鼻科に相談することをおすすめします。