多発性筋炎の症状の特徴と合併症の予防方法とは?

2017/11/10 記事改定日: 2019/6/25
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

多発性筋炎は膠原病の一種であり、何らかの原因で免疫機能に異常が起こり発症します。症状を抑えることが治療の中心になるため、早期に症状に気づけることが大切です。
この記事では多発性筋炎の症状や治療、合併症などの基礎知識を解説しているので、参考にしてください。

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多発性筋炎と、代表的な症状について

多発性筋炎は筋肉に炎症によって筋肉が普段通りに働かなくなる難病で、自己免疫の異常が様々な部位に症状を作り出すと考えられています。
どうして発症するかわかっていませんが、もともと膠原病になりやすい体質の人が、何かの微生物に感染することが原因ではないかと考えられています。

筋肉が上手く働かないので

  • 力が入りにくくなる
  • 疲れやすくなる

などの症状が現れます。

筋力の低下は胴体部分に近い場所で起こることが多く、腕の筋力が下がることで腕が上げづらいといった症状が現れ、ドライヤーがかけにくい、洗濯物が干せない、物を持ち上げるのに苦労するというような日常生活での問題も発生します。

また、足の症状としては、太ももの筋力低下が原因でしゃがみ立ちができなくなったり、段差や階段などの昇り降りが困難になり、首の筋力低下で頭を枕から持ち上げることが難しくなったり、喉の筋力が低下すると、食べ物が飲み込みにくくなったり、むせやすくなったり、しゃべりにくくなったりすることもあります。

筋力の低下と共に痛みを感じることもありますが、症状の進行が遅いため、初期の状態では病気だと気づかない人が多いようです。

多発性筋炎の合併症は?

多発性筋炎の治療はステロイド療法などの薬物治療で症状を抑え、日常生活を送れる状態に戻れるようにすることが主な目的です。ステロイド療法で効果がみられない場合には免疫抑制薬を使用することもあります。

多発性筋炎の予後は合併症がなければ良好であることが多いですが、急性間質性肺炎などの合併症には注意が必要です。

急性間質性肺炎は急激に進行し、呼吸困難をきたしてしまいます。その原因は分かっておらず、治療法もないので、命に関わる合併症となります。また、悪性腫瘍を合併していることもあり、その場合も命に関わってきます。

他にも、様々な感染症や誤嚥性肺炎、呼吸筋の筋力低下による呼吸不全などの合併症のリスクがあり、どれも重症化する恐れがあります。

合併症の予防

多発性筋炎では、上で述べたような合併症が引き起こされることがあります。合併症が悪化すると日常生活が困難になったり、死に至る原因になることもありますので、療養中に次のような症状が続くときはできるだけ早く病院で検査を受けるようにしましょう。

  • 乾いた咳
  • 息切れ
  • 動悸
  • めまい

また、合併症の発症を予防するためには、医師の指示に従って多発性筋炎の治療を適切に続け、症状が悪化するような過度な運動、ストレス、睡眠不足、疲れなどの生活習慣を改善することが大切です。そして、とくに症状がない場合でも間質性肺炎や悪性腫瘍の有無を調べるための検査を定期的に受けるようにしましょう。

おわりに:多発性筋炎は進行が遅いので、初期のうちに対処することが重要

多発性筋炎は根本治療ができない難病ではありますが、治療で症状を抑えることで良好な予後を送れるといわれています。症状の進行が遅いので、早めに対処することが治療にとって大切です。ひどく疲れやすかったり、体を動かしにくいなどの症状があるときは、念のため病院で検査してもらうようにしましょう。

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