記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/15 記事改定日: 2018/11/12
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
寒い季節になり、風邪などで喉の痛みを訴える方が増える時期がやってきました。
喉の痛みがひどいと、水分をとることさえも一苦労ですが、そもそも喉はなぜ痛くなるのでしょうか。
この記事では喉が痛くなる原因や、痛みを和らげる方法をご紹介します。
喉は口や鼻と繋がっているため、ウイルスや細菌を含んだ外気を取り込みやすいとされています。そのため喉に痛みが生じた場合、考えられる主な原因は、大気中に存在する細菌やウイルスが喉の粘膜に付着したことによるものです。その他にも、付着した細菌やウイルスに身体が対抗しようとして防御反応を起こしたために、細菌だけでなく喉までも傷付けたことが原因で、喉が痛くなる場合もあります。
喉の痛みを伴う場合、風邪やインフルエンザを筆頭に、咽頭炎、扁桃炎、気管支炎などの可能性が考えられます。
喉の痛みは、ウイルスや細菌感染による炎症以外にも様々な原因によって引き起こされます。
代表的な原因としては、乾燥や声の出しすぎ、喫煙などが挙げられます。喉の粘膜には線毛と呼ばれる粘液を産生する構造があり、湿潤な環境に保たれています。しかし、冬場の気候やエアコンなどで湿度が低い環境にいる状態が続いたり、声を出しすぎて喉に過剰な刺激がかかると喉の粘膜が乾燥して粘液が減少し、炎症につながることがあります。
また、たばこに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があり、喫煙すると喉の粘膜の血流も低下するため、粘膜の修復作用が低下して粘膜が荒れる原因になります。そのうえ、タバコの煙には粘膜にダメージを与える有害物質が多く含まれるため、炎症を引き起こすことがあるのです。
逆流性食道炎とは、胃と食道の境目の筋肉が緩み、胃の内容物が食道内に逆流する病気です。筋力の弱まる高齢者や腹圧がかかる肥満者・妊婦などを中心に発症しますが、食後や夜間の胸焼け、前胸部痛などの症状が引き起こされます。
逆流性食道炎は悪化すると、胃の内容物が食道上部にまで逆流することがあり、場合によっては胃酸によって喉の粘膜が荒れ、喉の痛みや違和感を生じることがあります。
対処法としては、食後1時間程は横にならずに座った姿勢でいる、油物など消化に悪い食事を控えるなどが挙げられます。しかし、適切な対処法を続けても症状が改善しない場合は、病院を受診して治療を受けることをおすすめします。
自分で痛みを緩和できる方法を知っておくと、急に喉が痛くなった場合でも安心です。おうちで簡単にできる対処法を、以下にご紹介します。
うがいによって、喉の粘膜に付着した細菌やウイルスを洗い流し、喉の炎症が進行するのを防ぎます。うがい液には、殺菌効果のあるうがい薬がおすすめです。頭を左右に少しずつ傾けるようにしてうがいを行うと、喉の奥まで、まんべんなくうがい液が行き渡ります。
部屋が乾燥した状態では細菌やウイルスが活動しやすいため、喉が痛む時は部屋の湿度を上げて、細菌の活動を抑制しましょう。逆に部屋が乾燥すると、喉を潤そうとして咳がよく出るようになり、咳により喉の粘膜が荒れてさらに喉が痛くなる悪循環におちいる場合があるので、要注意です。加湿器がない場合、水を入れた洗面器を置いたり、濡れタオルを部屋に干したりするだけでも湿度を上げることができます。
部屋だけでなく、喉自体を保湿するのも有効な方法です。細菌やウイルスは熱に弱い性質があるため、喉が痛む時は首周りにストールやタオルを巻き、喉を保温するだけでも痛みの対策となります。また、一番簡単な方法は、自分の呼吸で喉を潤すことができるマスクです。マスク以外にも、のど飴やトローチなどをなめるだけでも喉が潤います。
喉の痛みには、体の免疫力を上げ体の内側から治していくのも有効な方法です。免疫力の上昇とは、細菌やウイルスに対抗する力がアップすることを意味します。免疫を上げるには、ビタミンCを多く含む柚子や赤ピーマンが効果的とされています。その他にも、殺菌作用のあるハチミツや長ネギなどもおすすめです。
セルフケアや十分な栄養をとっても、喉の痛みが取れない場合は、急性喉頭蓋炎、扁桃周囲膿瘍、咽頭癌などの可能性も考えられます。ただの風邪と思って我慢せず、病院で診察してもらうことが大切です。特に、喉の痛み以外の症状がみられるとき、具体的には声がかすれる、食べ物がのどを通りにくい場合などは、早めの受診がおすすめです。
今回は喉の痛みの原因や対処方法についてご紹介しました。痛みには、保湿、うがいなど総合的なケアが重要です。また、いざという時にあわてないように、日頃からうがい薬やマスクを常備するようにしましょう。