記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
関節の痛みやこわばりを感じる関節リウマチは、人によって症状の大小がある病気です。日本で関節リウマチにかかっている患者さんの数は約70万人と言われています。関節リウマチの症状や主な治療法、予防のためのセルフケアなどをご紹介します。
関節リウマチとは、関節を構成している組織のひとつ「滑膜(かつまく)」に炎症が起こることで発症する病気です。関節リウマチの原因ははっきりとは解明されていませんが、体内の免疫に何らかのトラブルが発生し、正常なはずの細胞などが攻撃される「自己免疫疾患」の一つと考えられています。
関節リウマチの初期症状には、手足、指の関節の腫れ、動かしにくさやこわばりなどが挙げられます。気付いたときには重症化している場合も多く、進行するとひどい痛みで歩行や日常生活を過ごすのが困難になるということも少なくありません。痛みや腫れ以外には、貧血、だるさや疲労、目の炎症などの症状も現れます。
関節リウマチ自体は、命にかかわる病気ではありません。そのため、症状が軽いうちは放置してしまったり治療がおろそかになってしまう人も多いといわれています。
ただ、痛みが続くことは非常に耐え難いことであり、日常生活にも支障が出ます。また、関節リウマチの人は他の病気を併発することも多いことも、苦しみの原因になることもあるでしょう。
発症のメカニズムが分からないため治療法も確立されていませんが、関節リウマチの原因と考える、自己免疫の異常を正常に戻す治療薬が開発されたことで、以前よりも関節リウマチの症状を抑え、日常生活を楽に過ごせるようになってきています。
病院で行われる関節リウマチの種類は症状によって主に4つから選択可能です。
関節リウマチの治療で基本となるのが薬を使用することです。関節リウマチの炎症を軽減させる抗リウマチ薬を使い、それでも痛みが残る場合は非ステロイド性の薬で抑えます。他にも、一時的な強い痛みにはステロイド薬を使用することもあります。近年では、痛みや炎症を抑えるとともに、骨や関節が破壊されるのを防ぐ新薬も開発されました。
生活指導は、関節リウマチを進行させず、上手に付き合っていくという方法です。関節リウマチの人は、適度な運動と安静をバランスよく組み合わせることが重要とされています。全く動かないでいると体のこわばりを強くしてしまい、動きすぎることは関節の炎症が悪化する可能性があります。医師からのアドバイスに従い、それを守った生活をすることが大切です。
関節リウマチを進行させないためには、適度に関節を動かすこと、筋力を落ちないようにさせることなどのリハビリが大切です。ただ、自己流のリハビリは症状を悪くさせてしまう恐れもあるので、医師や理学療法士にリハビリプランを立ててもらい、実行します。
関節リウマチの症状が進行すると、関節自体が変形してしまうこともあります。変形する関節の場所によっては、歩くことや日常生活へ大きく影響します。また、リハビリや薬を服用しても治らない場合は手術をすすめられるかもしれません。手術の方法は、炎症が起きた滑膜を除去する、人工関節をつける、関節を固定するなどがあります。
運動と安静を組み合わせるほかに、関節リウマチの人が心がけたいのが、病気と付き合っていくという気持ちです。
関節リウマチを完治させるというよりも、共存していくと考えた方が、自身にとっても周囲の人にとっても気分的に楽になるでしょう。骨を強くするとされるカルシウムを積極的に摂取するなど食生活を見直す以外にも、睡眠の質を良くすること、体を温めることなどにも気をつけていくようにしてください。
関節リウマチは、初期症状を見逃さないこと、リウマチだと思ったらすぐに病院に相談すること、そしてリウマチを進行させない自己管理を行うことが大切です。自身だけでなく、周囲の家族も気をつけるようにしましょう。