記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018年2月に承認されたインフルエンザの新薬「ゾフルーザ®」は、1回の服用で効果が得られる点で注目を集めています。ただ、1回あたりの用量は体重によって異なることや、未知な部分もある薬であることから、服用をできるだけ控えたほうがよいとされる方もいます。以下、この記事で解説します。
ゾフルーザ®は、2018年2月に厚生労働省に承認され、同年3月から販売されている新しい服薬タイプのインフルエンザ治療薬です。従来からある服薬型の治療薬「タミフル®」が1日2回、5日間続けて服用しないと効果がないのに対し、ゾフルーザ®は1回の服用で効果があるため注目されています。
ゾフルーザ®は、年齢だけでなく、体重によっても1回あたりの服用量が異なります。以下に、成人および12歳以上の小児と、12歳未満の小児とにわけて紹介します。
体重 | 用量 |
---|---|
80kg未満 | 2錠(20mg×2錠) |
80kg以上 | 4錠(20mg×4錠) |
体重 | 用量 |
---|---|
10kg以上20kg未満 | 1錠(10mg×1錠) |
20kg以上40kg未満 | 1錠(20mg×1錠) |
40kg以上 | 2錠(20mg×2錠) |
したがって、もしゾフルーザ®を処方してもらう場合は、自分の体重を必ず伝える必要があります。
妊娠中にタミフル®を服用しても、お腹の赤ちゃんには影響を及ぼさないことが明らかになっています。しかし、妊娠中の女性がゾフルーザ®を服用しても安全かどうかは、まだはっきりわかっていません。特に問題はないと言われているものの、現時点では服用によるメリットがリスクを上回ることが明らかな場合など、よほどの事情がない限りは服用しないほうがよい、とされています。
このことは、授乳中の女性の場合も同じです。授乳中のタミフル®服用は安全であることが判明していますが、ゾフルーザ®はまだはっきりしていません(ちなみに、動物実験で薬の成分が母乳に移行したことが判明しています)。
もし、妊娠中、もしくは授乳中にインフルエンザにかかってしまったらその旨を医師に伝え、安心して服用できる治療薬を処方してもらいましょう。
タミフル®と異なり、ゾフルーザ®は腎機能障害をお持ちの方や、人工透析中の方も服用することができます。また、ゾフルーザは中程度の肝機能障害の方は服用できますが、重度の肝機能障害の方にはまだ投与実績がないため、薬の処方にあたっては慎重な判断が必要とされています。
現在のところ、ゾフルーザ®と一緒に服用すると相互作用(一緒に服用することで、薬の作用を強めたり、弱めたりすること)が起こる薬は見つかっていません。
また、薬の効果に影響を及ぼすような飲み物との組み合わせも今のところありません。したがって、お子さんにゾフルーザ®を飲ませたいときに、ジュースや服薬ゼリーを使ってのみやすくしてあげることもできます。
ただ、ゾフルーザ®は新しい薬なので、承認時には気づかなかった相互作用が起こることも考えられます。もし、ほかの薬と一緒に飲んだときに具合が悪くなったり、薬を服用するときに飲んだもので体調に変化がみられたら、ゾフルーザ®を処方してくれた医師に診てもらってください。
ゾフルーザ®は1回飲めば効果が得られるため、今後幅広く使われる可能性がある治療薬として注目を集めています。ただ、体重によって用量が異なるため、診察時に必ず体重を伝える必要があります。また、発売されたばかりの新薬なので、予想外の薬の効果や副作用など、まだわからないこともあります。もし、ゾフルーザ®を服用するときは、体調の異変がないかどうかにも気をつけてお過ごしてください。