記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
熱が出たとき、扁桃腺が腫れることはよくあることですが、特に熱があるわけでもないのに、扁桃腺が腫れている人がいます。このような扁桃腺の腫れを「扁桃肥大」または「扁桃腺肥大」といいます。扁桃肥大とはどういうものなのか、詳しく見てみましょう。
現在、正式には扁桃腺のことを「扁桃」と呼びます。一般的には口蓋垂(こうがいすい)の両横にあるリンパのこぶのことを指し、この部分が口蓋扁桃(こうがいへんとう)であり、扁桃肥大とは、この口蓋扁桃が大きくなっている状態のことです。扁桃は口蓋扁桃の他にも喉の一番上にある咽頭扁桃(アデノイド)や、耳管扁桃、舌の付け根には舌根扁桃などがあります。
風邪をひいたときなどに口蓋扁桃が赤く腫れあがることを急性扁桃炎といい、38度以上の高い熱が出るなどの症状が現れます。そして急性扁桃炎を年に数回繰り返すと慢性扁桃炎とみなされます。
扁桃は、口や鼻から侵入するウイルスなどをとらえる役割があります。免疫機能の低い5~7歳ごろの幼児期に大きさのピークを迎え、中学生ごろになると、免疫機能が発達することで、扁桃は小さくなっていくのが一般的です。
本来、体の成長と共に小さくなっていきますが、たびたび炎症を繰り返したり、遺伝的なことが起因して肥大化したまま小さくならなかったりすると、通常よりも大きく肥大化してしまい、場合によっては治療が必要となることがあります。
扁桃肥大には段階があります。口蓋扁桃が中央で互いに接してしまうほどに腫れている場合は、何らかの症状があらわれてきます。大きく腫れた扁桃肥大になると、空気の通り道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群をひき起こしたり、大きないびきをかいたりしてしまいます。
睡眠時間を十分にとっていても、眠りが浅くなってしまうため、慢性的な睡眠不足に陥ってしまうでしょう。また、食べ物が喉を通りにくくなるなどの障害が生じる可能性もあります。
そして扁桃が必要以上に大きいと、風邪をひいたときに痛みを感じやすくなり、熱が出やすくなるといわれています。
扁桃肥大は、基本的には扁桃の大きさを見て診断が行われます。ただし、扁桃炎による炎症症状が扁桃肥大を起こしていることもあるので、細菌培養検査を行う場合もあります。
子供が扁桃肥大と診断されても、様子を見るのが一般的です。
細菌感染が原因の炎症で扁桃肥大が起こっている場合は、抗菌薬を使って治療します。
扁桃肥大が原因で、睡眠障害などの日常生活に支障をきたしている場合は、摘出手術が検討されます。
摘出手術は、就学前に行うのが一般的です。ただし、小さな子どもには手術は大きな負担となります。成長過程で自然に収まるケースも多いため、医師に事前説明を十分説明してもらい、手術のメリットやデメリットを考慮しながら慎重に検討するようにしてください。
子供の扁桃肥大は、通常年齢とともに小さくなっていきます。扁桃肥大の全てが必ず手術などの治療が必要というわけではありません。ただし、睡眠障害や摂食障害などの問題を引き起こしている場合は、治療が必要かどうか、何歳ごろに治療をした方がいいかを医師に相談する必要があります。日頃から子供の様子をきちんと観察しながら、適切な治療のタイミングで治療ができるように備えましょう。