高血圧を放置することのリスクとは?リスクを下げる対策はある?

2018/2/6 記事改定日: 2019/4/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

高血圧症とは、いわゆる血圧が高いことです。高血圧の状態が続くと、様々な健康被害のリスクが上昇します。この記事では、高血圧を放置するリスクについて詳しく解説しています。自身の健康管理に役立ててください。

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高血圧ってどんな種類がある?何が原因なの?

高血圧症には二次性高血圧と本態性高血圧のふたつの種類があります。
二次性高血圧症とは、高血圧症を引き起こす原因となる病気が明らかになっているもので、本態性は原因が明らかでないまま引き起こされた高血圧症です。

ただどちらにしても高血圧症であることにかわりはなく、一般的には上の血圧が140mmg以上または下の血圧が90mmg以上の状態が高血圧症に該当します(ほかの病気の有無や年齢によって正常値は変動します)。

二次性の原因には、腎臓疾患や甲状腺機能異常、高カルシウム血症などが挙げられます。本態性は原因不明とされていますが、その人の遺伝的要因と生活習慣が複合的に関わりあうことで引き起こされると考えられています。原因となる生活習慣として、塩分の過剰摂取や慢性的な睡眠不足、アルコールの多飲、喫煙習慣や強いストレスなどが挙げられます。

高血圧が進行することのリスクって?

高血圧症で発症リスクが上昇するのが動脈硬化です。
動脈硬化は血管がしなやかさを失い硬くなった状態であり、高血圧で血管にかかる圧力が高くなるため、血管が自分自身でそのダメージをやわらげようとコレステロールなどを内部にためこんでいくために起こります。そして動脈硬化は、さらに他の病気を引き起こす原因となるのです。

動脈硬化が引き起こす病気

動脈硬化が引き起こす主な病気として、脳血管疾患、狭心症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症が挙げられます。

脳血管疾患は、脳の血管が破れる脳出血、脳の血管が詰まる脳梗塞など、脳の血管が障害される病気です。狭心症は冠動脈が詰まることで引き起こされる病気で、心筋梗塞は心臓の動脈が詰まってしまう病気です。脳血管疾患、狭心症や心筋梗塞はいずれも脳、心臓の機能にダメージが発生するので、対応が遅れると命の危機にも直結するおそれがあります。
閉塞性動脈硬化症は主に足の動脈を中心に動脈硬化が引き起こされる病気で、それにより足への血流が停滞して歩行などに影響が出てきます。

高血圧によって引き起こされる動脈硬化以外の病気とは?

高血圧症で起こるその他の病気には下記のものがあります。

腎臓疾患

高血圧症が原因で起こる腎臓疾患のことを高血圧性腎障害と呼び、腎臓の動脈の動脈硬化が原因で発症します。腎臓にある糸球体に血液を送る細動脈の動脈硬化により腎機能低下が起こり、最終的に腎不全に陥ると、老廃物を濾過することができないため人工透析が必要になってしまいます。

網膜静脈閉塞

網膜全体に広がっている網膜静脈が高血圧や高血圧による動脈硬化が原因で出血してしまう病気です。著しい視力低下や視野障害が起こります。

大動脈解離

胸部大動脈や腹部大動脈にできた動脈瘤に亀裂が入り、避けて剥がれてしまう病気です。激しい痛みが起こり、治療が遅れると命に危機が生じるため、早急に治療する必要があります。

高血圧のリスクを下げるにはどうすればいいの?

高血圧のリスクを下げるには生活習慣の改善が何よりも重要です。
多くの高血圧は、塩分の摂りすぎや内臓脂肪型肥満、喫煙習慣などが原因で発症します。このため、以下のような生活習慣の改善を目指しましょう。

  • 塩分を控えめにする(一日の摂取量を7gほどに抑える)
  • 脂質や糖質の多い食事を控える
  • 野菜を中心とした食事を心がける
  • 一日の適正摂取カロリーを守る
  • 過度な飲酒は控え、禁煙する
  • 適度な運動習慣を身につける

また、高血圧は進行して合併症が現れるようになるまで自覚症状がないことがほとんどですので、定期的に血圧を測るようにし、高い状態が続くようであれば病院で相談するようにしましょう。

おわりに:高血圧のリスクを下げるため、症状がないときから対策を取ろう!

二次性高血圧症の場合は、原因となる疾患による異常から早期の段階で高血圧に気がつくこともあります。しかし本態性高血圧の場合は、初期段階では明確な自覚症状は出にくいため高血圧であることに気がつかないことも多いです。
同じように、動脈硬化もやはり初期の段階、潜伏期間などには自覚症状が出にくく、重篤な症状が出て初めてそれと気がつくことも少なくありません。

毎日、自分の血圧を計測しその変動に注意を向けることが大切です。自覚症状が無くても、血圧の状態は常に把握するように心がけ、血圧が高いと気づいた段階で早めに医師に相談しましょう。

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