喘息

概要

喘息は気管支の病気です。 喘息患者の気道は、アレルギーを引き起こす物質（アレルゲンと呼ばれる）や空気中の他の刺激性物質（刺激物と呼ばれる）に非常に敏感です。

喘息の症状は、アレルゲンまたは他の刺激物が気道の内壁に炎症（腫脹）および狭窄を引き起こすときに始まります。 気道の周りの筋肉は痙攣（急速に収縮）し、気道がさらに狭くなります。気道の内壁に炎症が起きると、より多くの粘液が産生されます。

粘液は気道を詰まらせ、さらに空気の流れを遮断します。 このことは「喘息発作」と呼ばれています。

症状

過剰な粘液が気道を膨らませて締め付けると、喘息発作が起こります。 喘息発作には、軽度、中等度、重度があります。 喘息発作の症状には以下が含まれます。
・咳
・息苦しい感じ
・胸の締めつけ感
・喘鳴（かすれた、きしんだ、音楽のような、あるいは口笛を吹くような呼吸）
・痰（粘液）のからむ咳
・呼吸時の喘鳴または笛吹き音
・呼吸および話すことが困難

睡眠障害

緊急時の兆候として、以下の症状が現れた場合は医師にご相談ください。
・レスキュー薬が症状を和らげない
・治療後に最大呼気流量が個人最高値の50％以下に低下する
・爪または唇が灰色または青色に変わる。
・歩くことや話すことが困難になる。
・ひどい呼吸困難がある。
・首、胸または肋骨は、一呼吸ごとに引っ張られる。
・呼吸するとき、鼻孔が広がる。
・心拍または脈拍が非常に速い

喘息発作が深刻な場合であるか判断するには、毎日最大呼気流量計（ピークフローメーター）を使用する（または子供に使用させる）必要があります。

最大呼気流量計は、肺からどれだけの空気が流出するかを測定します。 喘息のある人は、他の人よりも肺の内外への空気の流れが少なくなります。 最大呼気流量を測定することで、喘息の症状が出る前に呼吸の問題を確認するのに役立ちます。

最大呼気流量計はまた、医師に喘息発作がどの程度深刻であるかを伝えるのに役立ちます。 いつ薬を飲むべきか、救急医療が必要な時を教えてくれます。 最大呼気流量計の結果は、喘息の症状を悪化させるトリガーを見つけるのにも役立ちます。

喘息が悪化しているという徴候には、夜間に症状がでる、最大呼気流量が低下する、レスキュー薬をより頻回に使用する必要がある場合などがあります。 喘息が悪化していると思われる場合は、医師に相談してください。

原因

喘息は、さまざまな理由により激しい発作となる可能性があります。 アレルギーは喘息の症状を悪化させる可能性があります。 ウイルス感染（風邪など）、タバコ、汚染物質（木の煙など）、冷気、運動、化学物質の煙や香水、副鼻腔感染症および胸やけは、いずれも激しい発作症状発現の原因となります。

人によっては、強い感情やストレスが喘息発作の原因となることがあります。 これらのものが喘息にどのように影響するかに注意を払ってください。 ご自身と医師が、喘息を悩ます要因を理解した場合、それに対処しはじめることができます。

診断

最大呼気流量計は、最大呼気流量（PEFR）、つまり肺からどれくらい速く空気を吹き出すことができるかを測定する携帯用デバイスです。最大呼気流量を定期的に測定することで、喘息が悪化しているかどうかを判断するのに役立ちます。

最大呼気流量計を使用するには、まず、「個人的に最良の」ピークフローを見つける必要があります。 深呼吸をして、マウスピースにできるだけ激しく吹き込みます。最良値とは、喘息が良好にコントロールされている2週間の期間中に、測定器で得た最高の読み値です。

最大呼気流量計を使用するには、次の手順を実行します。

1.インジケータを番号付きスケールの一番下に動かす
2.立ち上がる
3.深呼吸する
4.最大呼気流量計のマウスピースの周りに唇を被せる。 舌はチューブの中に入れない。
5.できるだけ速く吹き出す

最大呼気流量計のインジケータが上昇するので、 停止した番号を書き留めてください。 手順1〜5をさらに2回繰り返します。 3つの数値のうち、最高値を最大呼気流量計の記録図に書き留めます。

自身の（または子供の）最高の最大呼気流量スコアを知ったら、医師は次のステップで行う方法を教えてくれるでしょう。 最大呼気流量スコアは信号の色のような「ゾーン」に入れられます。これは最大呼気流量ゾーンシステムと呼ばれています。

・グリーンゾーン：自己のベストスコアの80％〜100％のスコアです。 自身や子供の喘息がコントロールされていることを伝えます。 症状はありませんが、いつものように予防喘息薬を服用しなければなりません。

・イエローゾーン：自己のベストスコアの50％〜80％のスコアです。 喘息が悪化していることを伝えます。 頻回に咳や喘鳴があるかもしれません。追加の喘息薬が必要な場合があります。 医師の指示に従うか、医師に相談してください。

・レッドゾーン：自己ベストスコアの50％以下のスコアです。 緊急事態のサインです。 重度の咳、喘鳴、息切れがあり、唇と爪は灰色がかった色、または青みがかった色になっている可能性があります。 すぐに気道を開くために吸入器やその他の薬を使用してください。 すぐに医師に相談してください。

治療

症状の治療は、 喘息発作の原因となる症状を避け、症状を観察し、薬を飲むことです。
喘息薬は一般に、発作を防ぐ薬（コントローラー薬）と発作を治療するための薬（レスキュー薬とも呼ばれます）の2つのグループに分けられます。 医師は、これらの薬や喘息発作がある場合の対処法について話します。 医師に薬の服用方法に関する書面による指示を依頼してください。 医師はすでに守らなければならない注意書きを持っているかもしれません。

コントローラー薬と即効薬について

喘息患者さんが最もよく使用する処方薬は次のとおりです。

コントローラー薬
・吸入コルチコステロイド
・クロモリン
・ネドクロミル
・抗ロイコトリエン薬
・テオフィリン
・サルメテロール（吸入長時間作用型β2アゴニスト）

即効薬
・アルブテロール、ピルブテロール、レバルブテロールまたはビトルテロール（吸入短時間作用型β2アゴニスト）
・イプラトロピウム（抗コリン作用性）
・プレドニゾン、プレドニゾロン（経口ステロイド）

吸入剤であるPrimatene Mist Inhaler（プリマテン・ミスト・インヘーラー）は販売が中止になりました。市販の喘息吸入器であるPrimatene Mist Inhalerは、2011年12月31日以降も入手可能です。現在、Primatene Mist Inhalerを使用している場合は、有効期限が切れていない限り、使用してください。 喘息治療薬を医師に相談してください。

コントローラー薬は気道の腫脹を軽減して喘息発作を防ぐのに役立ちます。 コントローラー薬は、症状の有無に関わらず、定期的に服用しなければなりません。定期的に内服しないかぎり、効果があらわれるまで数時間または数日かかりますし、うまく作用しません。

レスキュー薬（即効薬とも呼ばれます）は、喘息発作時に気道周囲の筋肉を弛緩させることで、気道を開くことができます。 喘息発作を起こしているように感じたら、すぐにこの薬を服用するための医師の指示に従ってください。

以下の症状がでた場合は喘息発作の警告兆候があります。

・最大呼気流量が個人的最良値の50％〜80％
・咳または喘鳴
・息切れ
・胸のしめつけ感

薬を服用しても症状がよくならない場合、または最大呼気流量が自己最良値の50％以下に低下した場合は、医師に相談するか、（必要に応じて救急車で）最寄りの救急室に直接行ってください。

予防

喘息発作を引き起こすトリガー（アレルゲンとも呼ばれる）と刺激物を避けることにより、喘息発作を避けることができます。 トリガーと刺激物は個人によって異なりますが、以下は一般的なトリガーと刺激物の例です：
・大気汚染
・ほこり
・かび
・花粉
・タバコの煙
・ペットのふけ
・運動
・温度変化
・特定の食品
・亜硫酸塩（赤ワイン、ビール、サラダバー、脱水スープなどの食品保存料）
・アスピリン、またはイブプロフェン（商品名：Advil、Motrin、Nuprin）
・胸焼け
・副鼻腔感染症
・強い感情（泣いたり笑うなど）
・香水
・スプレー式デオドラント
・ウイルス

花粉やカビが症状を引き起こす場合は、エアコンを使用し、自宅や車の窓を閉じたままにしてください。 暖房および冷房システムのフィルターを頻回に交換してください。

カビを抑えるために、バスルーム、キッチン、地下室を清潔にして空気の入れ替えをしてください。 湿度を50％以下に保つためには、エアコンや除湿器を使用してください。

ほこりにアレルギーのある人は、実際にイエダニの糞にアレルギーがあります。 家のほこりの中にいるイエダニを減らすために、ベッドシーツをお湯（６０度以上）で毎週洗ってください。 マットレスと枕を隙間なく覆い、カーペットやカーテンを取りのぞきます。

カーペットを使う必要がある場合は、ダニを減少させることができる科学物質で処理してからにしてください。 ほこりを取り込むぬいぐるみ、乾燥した花や他のものを避けてください。

ペットアレルギーがある場合、ペットを飼うことで問題を引き起こす可能性があります。 ペットを飼っている場合は、寝室には入れないでください。家の中や車内で喫煙をさせないでください。 タバコの煙によって喘息を悪化する可能性があります。

医師に質問すべき事項

・子供には喘息があります。 成長すると治るでしょうか？
・治療計画のための書面による指示書をいただけますか？
・子供の治療に関して学校にどんな情報を提供する必要がありますか？
・アレルギー検査は喘息症状の原因を特定するのに役立つでしょうか？
・喘息症状を和らげるために自宅でどのようなことができますか？
・喘息があっても運動やスポーツは安全ですか？
・緊急事態の兆候は何ですか？ 緊急時に何をすべきですか？