吐き気を引き起こす病気について

2026/5/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

吐き気はとても身近な体調不良であり、食べ過ぎや飲み過ぎ、二日酔い、軽い胃腸炎など、原因がはっきりしている場合も多いです。ただ、吐き気の中には、深刻な病気のサインとして現れているものもあります。この記事では、吐き気の原因になる病気について解説していきます。

吐き気とは

吐き気とは、みぞおちから腹部にかけてムカムカし、胃の中にあるものを吐き出してしまいたい状態になることです。日常生活の中でよく起こる体調不良であり、食べ過ぎ・お酒の飲み過ぎ・二日酔い・乗り物酔い・胃腸炎などが原因で起こります。このような原因がはっきりしている問題のない吐き気であれば、通常は時間経過とともに自然に落ち着いていきます。

しかし、何らかの病気が原因で起こっている場合には、吐き気が長期間継続したり、何度も繰り返したり、仕事・家事・日常動作に影響がでるほどひどい吐き気が起こったり、腹痛・頭痛などの吐き気以外の症状を併発したりすることがあります。吐き気を引き起こす病気の中には深刻な病気もあるので、気になる吐き気があるときは、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

吐き気を引き起こす病気の例

吐き気は、以下のような病気が原因で起こることがあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、粘膜の炎症で潰瘍ができる病気です。無症状のこともありますが、主な症状としてみぞおちの痛みや違和感・吐き気・おう吐が現れ、吐血・タール便・貧血などが現れることもあります。重症化して穿孔(胃や十二指腸に穴が開いた状態)が起こると、緊急手術が必要になる場合があります。ピロリ菌感染・ストレス・食生活・生活習慣などが原因と考えられていて、胃潰瘍・十二指腸潰瘍自体ががんになることはないといわれていますが、胃がん・十二指腸がんが潰瘍をつくることがあるため、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の既往歴がある人は定期的な検査が推奨されます。

腹膜炎

腹膜炎は腹膜に炎症が発生する病気であり、虫垂炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・腸閉塞・胆のう炎などの穿孔で起こったり、細菌感染・がん・腹水・手術後の合併症で起こることがあります。腹膜炎が起こると、強い腹痛が現れます。最初は局所的な痛みから始まり、進行とともに痛みがどんどん広がり、吐き気・おう吐・発熱などの症状も現れます。

肝炎

肝炎は肝臓に炎症が起こり、肝臓の細胞が破壊された状態になる病気です。肝炎ウイルスへの感染(ウイルス性肝炎)・過度の飲酒(アルコール性肝炎)・自己免疫の異常(自己免疫性肝炎)・薬剤の影響(薬剤性肝炎)などが原因であり、日本ではウイルス性肝炎が多いといわれています。急性肝炎では発熱・頭痛・倦怠感・食欲不振・吐き気などの症状が現れることがありますが、初期の急性肝炎や慢性肝炎では自覚症状が現れないこともあります。ある程度進行すると、黄疸・褐色尿などの症状が現れます。

胆石症

胆石症とは、コレステロール・ビリルビン・胆汁酸・レシチンなどの成分が結晶化した結石(胆石)が、胆のう・胆管にできる病気です。右わき腹・みぞおち付近に激しい痛みが起こり、吐き気やおう吐が起こることもあります。胆石が胆のう内にある状態では無症状のこともありますが、非常に激しい痛みのため救急搬送されることもあり、胆石で胆管が塞がれると、発熱・悪寒・黄疸・肝障害を発症することもあります。

膵炎

膵炎には急性膵炎と慢性膵炎があり、急性膵炎は症状が強く現れる傾向にあります。過度の飲酒・胆石症・脂っこい食事・暴飲暴食などが原因になり、激しい腹痛・吐き気・おう吐などの症状が現れ、重症化すると意識障害・ショック状態に陥ることもあります。

くも膜下出血

くも膜下出血は、くも膜下腔(くも膜と軟膜の間の隙間)に出血が起こる病気であり、発症すると今まで経験したことがない激しい頭痛やおう吐が起こり、多くの人が意識を失います。前兆や軽度の症状として、急な頭痛・めまい・視力低下・血圧の乱高下・吐き気・おう吐・意識低下(頭がボーっとするなど)などが起こることがあります。このような軽度の症状は回復することもありますが、長引いたり、繰り返したりすることもあり、その後本格的な出血を起こすこともあります。気になる症状があるときは、早めに受診しましょう。

脳出血

脳出血の症状は、前触れもなく突然起こることが特徴です。出血する場所や出血の程度により症状は異なり、頭痛・めまい・しびれ・吐き気・おう吐・片側の手足のまひやしびれ・話にくさなど、様々な症状が現れ、深刻な状態に陥ることもあります。

脳腫瘍

脳腫瘍も腫瘍が出来る場所によって症状の現れ方が変わりますが、主な症状として、頭痛・吐き気・おう吐・目の症状(視力低下・かすみ目・目のぼやけ・視野欠損など)が現れ、しびれやまひ、めまい、言語障害・認知障害・記憶障害・聴覚障害などが現れることもあります。

メニエール病・突発性難聴

メニエール病は、聴覚・バランス感覚に関係する内耳にリンパ液がたまり、むくんだ状態になること(内リンパ水腫)が原因と考えられています。メニエール病の主な症状は、めまい・ふらつき・耳鳴り・難聴であり、頭痛・吐き気・おう吐・冷や汗などの症状も現れることがあります。突発性難聴は、突然耳の聞こえが悪くなり、耳鳴り・めまい・吐き気などを伴うことがあります。

おわりに:ひどい吐き気や長く吐き気がある場合などは早めに受診を

吐き気の多くは、一時的な体調不良や軽い感染症、胃腸炎などが原因であり、自然に治まります。ただ、吐き気を引き起こす病気の中には深刻な病気もあり、早期の治療が必要になるものもあります。思い当たる原因がない吐き気・日常生活に支障が出るほどの吐き気・長期間続く吐き気・繰り返す吐き気などがある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。健康診断や人間ドックなどで、全身の健康状態を定期的にチェックすることも大切です。

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