記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
嘔吐には、様々なことが原因があり、とくに心配する必要がないものもあれば、危険な病気が隠れていることもあります。
この記事では、嘔吐の原因について詳しく解説しています。危険な嘔吐の特徴も紹介しているので、いざというときに役立ててください。
嘔吐は、胃や腸の内容物が食道を経て逆流し、口から吐き出される現象です。通常は、脳内の嘔吐中枢が刺激されて生じる吐き気を伴います。
嘔吐は、胃の中の異物や刺激物、毒物を体外へ出す一種の防御反応ですが、消化器をはじめ内臓や脳の病気など、さまざまな疾患の危険信号として現れることもあります。
嘔吐の原因は、「生活習慣」「病気」「その他」に大別されます。
生活習慣によるものとしては、
などが挙げられます。ストレスに起因する嘔吐は心因性(神経性)嘔吐ともよばれ、肉体的異常がないことと、定期的、継続的に症状が出るのが特徴です。
病気としては
などが考えられます。消化器系の病気で起こることがとくに多いとされていますが、脳や眼、耳、心臓、精神的な疾患など、原因は多岐にわたります。ほとんどの場合で、腹痛や頭痛、発熱など、嘔吐以外にも多様な症状を伴います。
その他の原因としては、乗り物酔い、誤飲、悪阻(つわり)、食あたりなどが挙げられます。
生活習慣からくる嘔吐への対応としては、心身に負担をかけないような、規則正しい健康的な生活を送ることが重要です。
暴飲暴食を避け、刺激物や脂分の多い食事を控えて消化の良いものを選ぶようにしましょう。アルコールは自分のペースを守り、飲みすぎないように気をつけてください。また空腹状態でアルコールを胃に入れると、急に血中のアルコール濃度が高くなり吐き気や嘔吐が起きやすくなるため、食物類と共に飲むようにしましょう。
また、日々のストレスが蓄積しないようにすることが重要です。スポーツ、読書、お風呂や音楽鑑賞など、自分なりにリラックスできる方法をみつけ、ストレスと上手に付き合っていきましょう。
嘔吐した場合は、誤嚥を避けるため横向きになり、深呼吸などして全身の緊張をほぐし、気分をリラックスしましょう。あおむけにしかなれない場合は、顔を横に向けるだけでもかまいません。ただし、急な動きは嘔吐を誘発することがあるのでゆっくりした動きを心がけてください。胃を安静にし、頭をなるべく冷やしましょう。
嘔吐後の対処法としては、冷水や塩水、レモン水などでうがいして口内を清潔にしましょう。嘔吐がおさまったら、脱水の改善のために様子を見つつ少しずつ水分を補給しますが、嘔吐後は水分に加え多量の塩分も失われているため、効率よい補給のために経口補水液の利用がおすすめです。
なお嘔吐後は吐瀉物をそのままにせず、速やかに処理するようにしてください。特に感染性胃腸炎などの場合、吐瀉物には大量のウイルスが含まれているため、処理をする時はゴム手袋やマスクを着用したうえ、薄めた塩素系漂白剤などで汚染場所が広がらないようしっかり消毒しましょう。
嘔吐は非常にありふれた症状であり、誰もが一度は経験したことがあるものです。
しかし、嘔吐の中には非常に危険な病気やケガが原因で生じているものもあり、次のような場合には注意が必要です。
このような嘔吐がある場合にはすぐに病院を受診するようにしましょう。また、感染性胃腸炎が疑われる場合には、本人だけでなく家族や周囲の人も病院を受診し、感染の危険があるときは発症予防のために抗生剤投与を行うなどの対策を取りましょう。
嘔吐が起こる原因は多数考えられるので、嘔吐がひどい、頻繁に起こる、腹部の痛みやめまいなど、嘔吐以外の症状があり、思い当たる理由がなければ重篤な病気が潜在している可能性がありますので、早めに病院を受診しましょう。