ギラン・バレー症候群のリハビリ内容って?予後や回復までの期間は?

2017/12/14 記事改定日: 2020/9/23
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

神経に異変が生じ、手足の筋力が短期間のうちに衰えてしまう「ギラン・バレー症候群」の治療は、筋力低下を防ぐためのリハビリが行われます。この記事では、リハビリの方法や注意点、予後、リハビリの期間や回復にかかる時間について紹介していきます。

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ギラン・バレー症候群の症状とは?どんな治療が行われるの?

ギラン・バレー症候群は急性および多発性の神経炎で、主として運動神経障害を引き起こして手足の筋力低下をもたらす疾患です。

ギラン・バレー症候群の症状と治療

病気のサインとされる前駆症状としては、咽頭痛や発熱などの風邪のような症状をはじめ、急性の結膜炎や消化管症状が見られることがあります。これら前駆症状の後に引き起こされやすい神経症状として多く見られるものが、運動神経障害に伴う筋肉の脱力や麻痺で、多くは足から手の方へ移行していきます。

ギラン・バレー症候群に対する治療としては、一般的に免疫グロブリン大量療法や血漿交換療法、リハビリテーションが行われています。

免疫グロブリン療法とは

ギラン・バレー症候群の治療の第一選択は免疫グロブリン療法です。免疫グロブリン療法とは、体内に侵入した病原体などの異物を攻撃する「免疫グロブリン」というタンパク質を大量に点滴する治療法のことです。

免疫グロブリンを大量の補充することで、ギラン・バレー症候群による異常な免疫反応が抑えられ、症状を改善することができるとされています。

血漿交換療法

ギラン・バレー症候群の治療の第一選択は上述した免疫グロブリン療法ですが、急激に症状が進行するような重症な場合や免疫グロブリン療法のみでは十分な効果が得られない場合は、血液中の液体成分である「血漿」を体外へ出し、有害物質を除去して体内へ戻す血漿交換療法が行われます。

大掛かりな医療機器が必要であり、厳重な管理を行って治療をしていかなければならないうえに時間がかかるため、身体への負担は免疫グロブリン療法よりも大きくなります。

ギラン・バレー症候群のリハビリと予後は?

ギラン・バレー症候群は治療によって回復や治癒が期待でき、予後も比較的良好な疾患とされています。その予後ですが、治療などを通して回復、治癒する場合が多いですが、中には自然に回復していく場合もあります。

そして、ギラン・バレー症候群の治療では早期のリハビリテーションが重要です。

どうして早期リハビリが重要なの?

ギラン・バレー症候群は主として運動神経障害から急速な手足の筋力低下を引き起こします。短期間で容易に筋力低下が進行しやすく、そのことによって歩行困難など日常生活に著しい支障をもたらす可能性があるためです。

また、筋力低下は日常生活へ支障をきたすだけでなく、身体を動かすことが困難になることによって深刻な合併症を引き起こす可能性もあります。したがって、できるだけ早期の段階から筋力低下の進行を予防、もしくは維持していくことで日常の生活動作に支障をきたさないようにすることが、リハビリの大きな目的となります。

リハビリの内容やトレーニングとは?

ギラン・バレー症候群に対するリハビリテーションは、主にPT(理学療法)とOT(作業療法)に分けることができます。

PT(理学療法)

PTでは生活動作に必要な手足の筋力の改善や維持を目的としてリハビリテーションを行っていきます。具体的には、手足の筋力トレーニングや歩行トレーニング、階段昇降のトレーニングなどです。なお、これらは痛みや疲労を生じさせないように注意して行っていく必要があります。

OT(作業療法)

OTでは生活に必要な細かい動作の改善や維持を目的としてリハビリテーションを行っていきます。具体的には手足の細かい動きをサポートしながら食事や更衣のトレーニング、手作業などがあります。なお、これらは必要に応じて装具を使いながら行うこともあります。

ギラン・バレー症候群のリハビリ期間は?回復までの時間は?

ギラン・バレー症候群に対するリハビリは、発症後早く始めるほどよいと考えられているため、診断が下されたら早い段階でリハビリ計画が立てられます。

発症後まもないリハビリの注意点

発症後すぐは神経麻痺が重度なことも多いため、筋肉に過度な負担がかからないように運動量や運動強度を調節しながら行います。そして徐々にリハビリの範囲を広げていくのです。

リハビリの期間や回復にかかる時間は?

リハビリ期間や回復までの時間は重症度などによって個人差がありますが、目安としては2か月ほどかかることが多いとされています。しかし、神経麻痺が重度な場合には発症後一年以上経過してもリハビリを続ける必要があるケースもあります。

どのようなリハビリをいつまで続けるかについては、主治医や理学療法士などとよく話し合って、それぞれの症状に適したものを行うようにしましょう。

おわりに:ギラン・バレー症候群は早期治療が重要!リハビリを続けて良好な予後を

筋力低下に伴う日常生活への支障や合併症を防ぐために、ギラン・バレー症候群の治療にはリハビリは欠かせません。ギラン・バレー症候群は適切な治療やリハビリを継続することによって良好な予後を送れることが多いので、根気よくケアを続けていきましょう。

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