記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/28 記事改定日: 2018/6/21
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
前立腺炎とは、男性だけが持つ前立腺に炎症が起こる病気です。急性細菌性前立腺炎、慢性細菌性前立腺炎、慢性非細菌性前立腺炎、無症候性炎症性前立腺炎の4種があり、それぞれ症状や原因、治療法が異なります。
この記事で詳しく解説していくので、早期受診に役立ててください。
前立腺は男性のみに存在する器官で尿道のまわりを取り囲むようにして存在し、精液の一部である前立腺液を作る役割を持っています。前立腺炎はこの前立腺に炎症が起こる病気であり、前立腺炎は急性のものと慢性のものがあります。
急性前立腺炎は、高熱や排尿時の痛みなど、排尿障害の症状が出やすいといわれています。対して慢性前立腺炎は、自覚症状が現れないことが多く、症状が現れたとしても軽い症状が多いことが特徴です。
30~40代の比較的若い年齢層の人がかかりやすい傾向にあるとされ、前立腺炎はさらに4つの種類に分類されます。
急性細菌性前立腺炎は、急激な悪寒や発熱などの症状が起こる急性前立腺炎です。
そして、炎症の起こった前立腺が尿道を圧迫することで頻尿や排尿時の痛みなどの症状もが現れ、さらに悪化すると、敗血症にまで発展することもあるので注意が必要です。
急性細菌性前立腺炎の主な症状には次のようなものがあります。
発症の原因とされるものとして、尿道やリンパ管、血管などを通ってきた細菌(大腸菌など)による感染が挙げられます。
急性細菌性前立腺炎は、高熱などの症状が急に現れ、会陰痛などが原因で座ったり立ったりできなくなることもあるので、基本的には入院治療が必要とされています。
原因となる細菌に対して抗生物質で治療を行い、高熱や痛みに対しては対症療法として解熱剤や鎮痛剤などが使われます。
慢性細菌性前立腺炎の症状は、熱は微熱程度で痛みもそれほどないことが多いといわれています。ただし精液に膿や血が混じることがあります。原因はブドウ球菌や緑膿菌などの細菌感染です。
細菌が原因のため、治療の主体は抗生物質になります。また、物理療法や温熱療法が用いられることもあります。
慢性非細菌性前立腺炎の主な症状として、排尿困難と会陰部や鼠径部、下腹部などの痛みが挙げられます。さらに、これらの症状が出たり、出なかったりを繰り返すことが多いことも特徴です。
クラミジアなどの細菌が原因のものは炎症性と呼ばれ、炎症がみられないものを非炎症性と呼びます。非炎症性のものは、前立腺の結石や尿の逆流、骨盤内のうっ血、精神的な要因などが原因ではないかという説もありますが、はっきりした原因はわかっていません。
抗生物質や筋弛緩剤、抗不安薬などを使った薬物療法や温熱療法を中心に治療が進められますが、痛みが激しい場合は手術療法が選択されることもあります。
無症候性炎症性前立腺炎は文字通り、症状がない前立腺炎です。症状がないため、他の病気の検査などで前立腺の組織や尿、精液を検査したときに見つかるのが一般的です。無症候性炎症性前立腺炎は、通常は治療が行われません。
これまで説明したような症状がある場合は、泌尿器科を受診してください。泌尿器科が開いていないような夜間や休日に、尿が出したくても出なくなった場合(尿閉)や高熱が出た場合は、非常に緊急性が高い状態の可能性がありますので迷わず救急外来を受診してください。
前立腺炎にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や症状、治療法が違ってきます。そのため、自己判断で治療が必要かどうかを判断することは危険です。前立腺炎と似た症状が現れる病気もあるので、適切な治療を受けるためにも、気になる症状が出たときは必ず病院で検査してもらいましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。