記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日常的にげっぷやおならの回数が多くて悩んでいませんか?もしかしたらそれは、「呑気症(どんきしょう)」によるものかもしれません。以降で詳しく解説していきます。
げっぷとは、食後に胃の内部で発生したガスが食道から上がって来て口から吐き出される状態を指します。ガスは胃が食べ物を消化する過程で発生し、ガスが胃の容量を超えてしまうと逆流して食道に向かい、さらに口へと送られてげっぷとして出てきます。胃の働きが弱っている場合は動きが鈍くなり、発生したガスが口まで運ばれにくいとされます。
げっぷとして出るガスの大半は、飲食などの時に唾液と一緒に飲み込んだ空気と言われいてます。食事中に飲み込んでしまった空気が多いほど、食後のげっぷが多く出てくることになります。食事のスピードが早い人やガムをよく噛んでいる人、喫煙回数が多い人に出やすい傾向にあります。眠っている時に口を開けてしまう人にも出やすく、精神的な緊張や興奮によってさらにげっぷが出てしまうこともあります。
呑気症(どんきしょう)とは空気嚥下症とも呼ばれ、特に飲食時に大量の空気を呑み込んでしまうことで胃や食道、腸に空気が溜まって、げっぷが出る症状のことです。腹部膨満感や胸焼け、上腹部痛などの症状が起こることもあります。
呑気症の場合、飲食時以外でも日常生活を送る中でたくさんの空気を無意識のうちに呑み込んでしまっていると言われ、それが胃や腸に溜まってげっぷの原因になります。緊張する場面で唾液を呑み込む時などに空気も一緒に呑み込んでおり、緊張によるストレス状態が慢性的になると、無意識に呑み込む空気の量がさらに増え、げっぷやガスといった症状が出てしまいます。なお、げっぷによって食物や胃液が逆流することで胸焼けが生じ、逆流性食道炎になることもあります。人前でげっぷを出さないよう気を遣ってストレスとなり、それでまた空気を呑み込んでしまうことから、ストレスこそが最大の原因とも言われています。
仕事などでストレスが溜まっており、げっぷやガスが頻繁に出やすくなっているなど日常生活に支障が出ている場合は、市販薬で自己流の対処を続けるのではなく、病院へ行って呑気症かどうかの検査を受けましょう。特にげっぷに悩んでいる場合は、内科や消化器科で胃や食道、腸などに異常がないかを診てもらい、消化器系が原因であればその治療を受けることで早めの改善に繋げられます。歯の噛みしめが原因で起こっている場合は、歯科や口腔外科でマウスピースを作ってもらい、噛みしめるクセを直すことで症状を軽減させられることもあります。ストレスが原因になっている場合は、心療内科などでメンタルケアを受けることで改善につなげて行くことができます。
呑気症を予防するためには、最大の原因であるストレスへの対策が重要となります。意識してストレスを解消することが大切で、散歩やウォーキング、映画やショッピングなど自分に合った方法でストレスを解消し、家にこもってゲームに興じるよりも積極的に外出して行う方法が良いとされます。
なお、ストレスのほかに噛みしめグセからも呑気症が誘発されるため、深呼吸を習慣づけることで空気の呑み込み過ぎを予防しましょう。そして早食いをやめることも重要で、よく噛んでゆっくり食べる習慣をつけ、空気を呑み込む量が増えるため汁物は音を立ててすすらず、静かに飲むようにします。また、胃腸に負担がかかる揚げ物や炭酸飲料を控えることも大切です。
食べすぎによってげっぷが出ることもありますが、ストレスが原因でげっぷが出やすくなってしまうことは珍しくありません。「呑気症かも?」と思ったらまずは病院で検査を受け、医師の指示に従いつつ、日常的にストレスを発散する習慣をつけるなど対策に努めましょう。