記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2025/11/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一般的に、小学校入学以降になって続くおねしょのことを夜尿症と言います。夜尿症はいくつかの種類に分けられ、それぞれで要因・治療方法が変わってきます。この記事では、夜尿症の種類と特徴、治療方法について解説していきます。
夜間睡眠中、無意識のうちに尿を漏らしてしまうことを夜尿症と言います。夜尿症は、夜眠っている間に作られる尿量と、尿を溜める膀胱の大きさとのバランスがとれていないために起こると考えられています。一般的に、5歳前後までの子どもの夜尿はおねしょと呼び、小学校入学以後になっても続くものを夜尿症と言い、夜尿症の場合は積極的な生活指導や薬剤による治療などの対策が必要になる可能性があります。夜尿症は、発症の要因の面から、以下のように分類されます。
多尿型とは、尿量が多いタイプの夜尿症です。多尿型の多くは、夜間睡眠中に抗利尿ホルモンの分泌量が不足し、尿を濃くする作用が十分に働かなくなり、薄い尿がたくさんできてしまうことが原因と考えられています。また、塩分の過剰摂取で睡眠中に尿量が増えてしまうことも原因になることがあります。
膀胱型とは、膀胱の容量が少なく、少しの尿量で尿意が生じることで起こるタイプの夜尿症です。膀胱の容量が昼・夜ともに少ない場合と、夜間睡眠中だけ少ない場合があり、それぞれ同じ程度の割合で存在するといわれています。
混合型とは、多尿型と膀胱型のどちらの要因も持っている夜尿症のことです。治療が長期化することが多く、比較的低年齢の子どもに多くみられるといわれています。
正常型とは、夜間睡眠中の尿量・膀胱の容量のどちらも年齢相応である人に起こる夜尿症です。多くは夜尿の自立が近い状態で、夜尿の程度も軽く、早い時期に自立する可能性が高いといわれています。
夜尿症の治療は、おもに以下の方法を中心に進められます。夜尿症の治癒にはある程度の時間が必要であり、日数・時間帯・季節性などを考慮に入れながら継続することが大切になってきます。
多尿のある「多尿型」「混合型」の場合は、食事・水分の摂り方を見直し、夜間尿量を減らすことが改善につながると考えられています。また、膀胱の容量が少ない「膀胱型」「混合型」の場合は、排尿をなるべく我慢する習慣をつけるよう指導される場合があります。改善が見られない場合は、薬剤治療やアラーム療法が検討されます。
おもに、抗利尿ホルモン剤、三環系抗うつ剤、副交感神経遮断剤などの薬を用いて治療が進められます。
夜間睡眠時に排尿をしたタイミングで目覚めさせると、睡眠中の尿の保持力が増加するといわれています。下着にセンサーをつけ、夜尿があった際にアラームを鳴らし、朝まで保持できるようになることを目指して治療が続けられます。
夜尿症は、発症の要因別などで分類することができ、種類によって治療の進め方が変わってくる場合があります。小さな子どものおねしょ自体は珍しくないことですが、気になる症状・特徴がある場合は医療機関を受診し、治療の必要性のこともあわせて今後のことを相談することをおすすめします。