記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
強皮症とは、皮膚や内臓が硬くなってしまう難病です。全身性強皮症と限局性強皮症の2種類に分けられますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。この記事では全身性強皮症と限局性強皮症の違いと、それぞれの治療のポイントを解説していきます。
強皮症には2種類のものがあり正しく理解しておくことが大切です。
まず限局性強皮症と呼ばれるものですが、これは皮膚のみに症状が現れるのが特徴で内臓が侵されることはありません。
もう一方の全身強皮症は、皮膚だけでなく内臓も硬化する疾患です。ただ、以前は進行性とされていましたが、患者によって病気の進行は大きく異なり、内臓が侵される度合いも人それぞれであることが分かってきました。
全身強皮症でもびまん型全身性強皮症と限局型全身性強皮症に分けられ、びまん型は発症してから5~6年は進行が進みますが、限局型の場合は進行がほとんどなく軽症型であるのが特徴です。
強皮症の原因はいまだ解明はされていません。限局性強皮症は主に若い人に起こりやすいといわれていますが、発症しても数年で自然治癒する傾向があるといわれています。また免疫異常が原因で発症する可能性があることも指摘されています。
全身強皮症の原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝的な要素と環境因子が絡み合うことで初めて発症すると考えられています。かかりやすくなると予想される遺伝子素因の存在は確認されているのですが、これらの素因を持っていても単体で発症するわけではないといわれています。他にも化学物質や美容整形術がきっかけとなる場合もありますが、必ず発症するというわけではありません。
男女比率は限局性強皮症が男女比1:2、全身強皮症は1:10となっていて、2つには大きな開きがあります。
全身強皮症の中でも、びまん型全身性強皮症と限局型全身強皮症では進行に違いがあります。限局型強皮症の場合は皮膚が硬化する症状が見られますが進行することはあまりなく、あったとしてもごくゆっくりであり命にかかわるということはありません。
一方でびまん型全身性強皮症では、発症から5~6年は皮膚の硬化が進行し内臓に病変があらわれます。ただそれを過ぎると皮膚の硬化は徐々に消え始め自然に治癒していくと考えられています。しかし内臓の変化は元に戻ることはないので、いかに早く治療を開始して内臓病変を遅らせるかということが治療のカギとなります。
自己抗体を調べることでびまん型か限局性強皮症かある程度区別できるので、異常に気づいたらできるだけ早く受診するようにしましょう。
限局性強皮症は広範囲で皮膚が硬化することは見られないことが多く、局所療法として軟膏による治療が行われることが大半です。内臓疾患に移行することはないため過度に心配をする必要はないでしょう。
びまん型全身性強皮症を根本から治療する薬剤はまだありませんが、ステロイドの少量内服やプロトンポンプ阻害剤の使用、ACE阻害剤での治療は、ある程度の効果が期待されています。状態によって血行を良くする血管拡張剤や炎症を抑える副腎皮質ホルモンを投与することもあります。どれも強皮症を完治させるものではありませんが、強皮症の症状を抑えることが目的で使われます。
強皮症の治療は長く続くものですから、上手くコントロールしながら付き合っていくことが大切とされています。強皮症の種類や症状、その人の健康状態など、様々な面から考慮して治療が進められていくので、医師と相談しながら根気よく治療を続けていきましょう。