記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/20 記事改定日: 2019/11/12
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
嗅覚障害とは、においを感じられなくなる、少しのにおいにも耐えられないなど、嗅覚に異常が生じることをいいます。こちらの記事では、人間がにおいを感じる仕組みや、嗅覚障害の原因、治療法について解説します。
鼻腔には、嗅上皮や嗅繊毛、嗅細胞、嗅神経といったにおいを感知するための組織があります。空気に含まれたにおいの成分が鼻の中に吸い込まれると嗅上皮の粘膜に溶け込み、嗅上皮にある嗅細胞が電気信号を生じます。
この電気信号が嗅神経を通って嗅球や大脳辺縁系へ伝わることにより、においが認識されるのです。
また、嗅上皮にある嗅繊毛には「嗅覚受容体」があります。
嗅覚受容体とは、におい分子に反応し、におい分子と結びついて何のにおいであるか識別するものです。
人間は約400もの嗅覚受容体を持つといわれており、それぞれ異なる複数のにおい分子に反応します。においによって嗅覚受容体の組み合わせが変わり、人間はその組み合わせによって数十万種類以上あるにおいを嗅ぎ分けているのです。
嗅覚障害とは、主に以下のような症状が現れる疾患です。
また、あるもののにおいを嗅いだときに本来とは異なるにおいを感じるものや、何を嗅いでも同じにおいとして感じものを「刺激性異嗅症」、周りににおいを発するものがないのににおいがするように感じるものを「自発性異嗅症」といいます。
嗅覚が正常に働かないため、ものを食べたり飲んだりしているときに味がわかりにくくなり食事に喜びを感じることができなくなってしまい、生活の質が低下することがあります。
また、腐った食べ物のにおいを嗅ぎ分けられない、ガス漏れや火災の煙のにおいに気づけないといった実害が出るおそれもあります。
味覚障害の原因は大きく分けて2つあり、片方にのみ起因する場合もあれば、両方に起因する場合もあります。
そして、嗅覚障害の病態は原因ごとで以下の3つに分けられます。
嗅覚障害の治療は、原因によって大きく異なります。
慢性副鼻腔炎、鼻ポリープ、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症など、鼻の異常が原因の嗅覚障害の場合は、薬物療法やレーザー治療、手術などそれぞれに適した治療が行われます。
原因が改善すれば嗅覚が改善する可能性が高いです。
一方、末梢神経や中枢神経の異常が原因の嗅覚障害は、ダメージを受けている神経を完全に元の状態に戻すことはできないため、治療はむずかしいと考えられます。
しかし年齢や全身状態によっては、このような嗅覚障害に対して、嗅覚を刺激して神経の回復を促す「嗅覚刺激療法」と呼ばれるリハビリが続けられることがあります。
ひと口に嗅覚障害といっても、原因によって呼吸性嗅覚障害・末梢神経性嗅覚障害・中枢神経性嗅覚障害の3つに分類されており、有効な治療法もそれぞれ違います。
点鼻薬の使用で改善することもありますが、末梢神経や中枢神経系のトラブルで起こっている場合もありますので、早めに病院を受診しましょう。