記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
抜毛症は自分で髪の毛や体毛を抜いてしまう病気であり、自然に毛が抜けていくものではありません。発症にはストレスが関わっていると考えられていることから、治療には精神療法が用いられます。この記事では抜毛症の治療方法について解説していきます。
抜毛症(ばつもうしょう)は、トリコチロマニア、抜毛癖(ばつもうへき)とも呼ばれることもある、健康な毛を自分で抜いてしまう病気です。
主に手の届きやすい前頭部や側頭部を中心に、境界がはっきりした毛の短い部分が斑状に出現し、円形脱毛症のような症状が出ます。症状は頭部だけでなく、手が届いて抜毛が可能な場所なら眉毛やまつ毛、腋毛、陰毛にも見つかることもあります。
また、抜毛症の人は髪の毛を抜きたいという衝動を抑えることができない、または無意識の間にクセとして、抜毛をしてしまうのが特徴であり、ストレスが原因で引き起こされると考えられています。
抜毛症はストレスの多い環境にいる人が多く発症するといわれています。特に女性が発症するケースが多く、小学生や思春期以降の女子、成人女性まで幅広い年代の発症例が報告されています。
ただ、仕事や将来への不安・ストレスからか、近年では働き盛りの成人男性の発症例も増加しているようです。
抜毛症がエスカレートし、慢性的に数年~数十年単位の長期にわたって繰り返すと、抜毛を繰り返した部分には健康な髪が生えてこなくなる可能性があります。その部分には細い髪や白髪しか生えなくなることもあるため、健康な髪を守るためにも慢性化する前に早めに治療を受けることをおすすめします。
抜毛症の治療は、薬物療法と行動療法が基本となり、皮膚に問題がある場合は皮膚科的な治療も並行しながら治療が進められていきます。
精神科や心療内科での治療がメインで、まずは精神を安定させる効果のあるセロトニンなどの服用を開始し、その後に行動療法を導入していきます。
精神療法(行動療法)は、まず抜毛癖を自覚させるところからはじまります。特定の状況で抜毛をしてしまうことがわかった場合は、その状況で抜毛を我慢できるよう繰り返し訓練していきます。
特に抜毛の状況が決まっておらず、日常的なクセとして抜毛をしてしまう人の場合は、抜毛のクセを他の行動に置き換えて、我慢できるよう訓練する行動療法がとられます。
ストレスから髪などの体毛を抜いてしまう抜毛症は、本人が無自覚の場合も多く、自然に治ることを期待するのは難しいでしょう。治療には、専門家と周囲の人によるサポートが不可欠です。自分や周囲の人に抜毛症の症状を見つけたら、慢性化する前に医療機関を受診し、治療してください。