舌炎の原因を詳しく解説①:口腔アレルギー症候群

2018/2/14

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

舌炎を発症すると、舌が炎症を起こして痛みが出てきます。主に舌をやけどしたり、けがしたりすると発症しやすいのですが、口腔アレルギー症候群が原因で舌炎を発症することもあります。この記事では、口腔アレルギー症候群が原因の舌炎について解説します。

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舌炎とは?

舌炎とは、様々な原因によって舌に炎症が起きる状態です。主な原因として、舌の火傷やけがといった外傷性のものと、貧血やウイルス感染など、体内に原因があるものがあります。舌炎の症状は、炎症を起こしている部位に痛みが出るのが特徴です。舌の表面が割れたような状態になるため、そこから内部感染を起こして痛みが生じます。特に、傷ができている部位から感染した舌炎は赤く腫れて強い痛みが出ることが特徴で、ひどくなると会話ができなくなったり、食事ができなくなったりします。それに比べると、胃腸病が原因の舌炎ではそこまで症状がひどくなることはなく、場合によっては軽い痛みだけということもあります。

口腔アレルギー症候群が原因となって生じる舌炎について

舌炎を発症する時は、体内の胃腸の調子が悪いか、舌に傷ができた時だと思っている人が多いと思いますが、実は口腔アレルギー症候群も舌炎の原因となります。
口腔アレルギーとは、口に入れた食べ物がアレルゲンとなってアレルギー反応を起こすもので、原因となる食べ物には果物や野菜があります。アレルゲンとなるものを食べると、数分以内に口の中にかゆみやしびれ、むくみが起こります。舌炎の原因によって治療法が変わってくるため、舌炎の原因が何かを知ることは大切です。もし口腔アレルギー症候群が原因となっている場合は、アレルゲンとなる食べ物を避けることが必要です。

口腔アレルギー症候群を引き起こしやすい野菜・果物

マンゴーを食べて口の周りに赤みやかゆみが出たことのある人は、アレルギー症状を起こしている可能性があります。マンゴーはウルシ科の植物で、アレルギーが出やすい食品です。この他にアレルギー症状が出る可能性のあるものとして、トマト、モモ、リンゴ、メロン、スイカ、バナナなどがあります。
ちなみに、パイナップルやキウイを食べた後、口の中で違和感を感じた人は多いかもしれません。これは口腔アレルギー症候群ではなく、酵素(パイナップルに含まれるプロメラインや、キウイに含まれるアクチニジン)が原因となっている可能性が高いです。

花粉症、気管支喘息、アレルギー持ちの場合は特に注意しよう

口腔アレルギー症候群を起こす食品のアレルゲンは花粉のアレルゲンと似ているため、花粉症がある人は口腔アレルギーも発症しやすい体質と言えます。スギ花粉症を持つ人のうち、10%が口腔アレルギーを起こすとされているため、すでに花粉症を発症している場合は気をつけたほうがよいでしょう。
そのほか、気管支喘息を持つ人や特定の食べ物や薬剤にアレルギー反応をおこす体質の人も注意が必要です。もともとアレルギーを持っていると、もともと持っているアレルゲンと形が似ているものにも反応することがあるためです。

おわりに:口腔アレルギー症候群は食べ物がきっかけで発症する。普段からアレルゲンを避けることが大切

舌炎を発症する原因として、けがや胃腸の不調に加えて口腔アレルギー症候群があります。口腔アレルギー症候群は、アレルゲンとなる食べ物がきっかけで発症する症状です。また、すでに花粉症や気管支喘息といったアレルギー症状を持つ人に発症しやすい傾向がみられるため、日ごろからアレルゲンとなる物質を避けることが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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