記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
うつ病には様々な種類があることをご存知でしょうか。うつ病は種類別で特徴が違ってくるため、正しく理解しておかないと、見過ごしてしまい治療が遅れてしまう可能性があるのです。この記事で詳しく解説していくので、参考にしてください。
双極性障害とは、うつ状態と躁状態を繰り返す精神疾患です。うつ病は、うつの症状だけがおこりますが、双極性障害は躁状態も起こります。
躁状態になると、テンションが高くなり非常に活発な状態になります。眠らずに活動したり、自制心が働かなくなってギャンブルで大金を使ったりして、生活に支障をきたすこともあります。
双極性障害は躁状態の程度によって「双極I型障害」と「双極II型障害」の2つに分類されます。
双極I型障害は、家庭や仕事などの社会生活に支障がでてしまい、入院しなくてはならないほどの激しい躁状態が起こった双極性障害のことです。一方、双極II型障害は、軽躁状態という、本人も周囲もそんなには困らない程度の躁状態の場合です。双極性障害は、薬でコントロールすればしっかりと対処できると考えられています。
非定型うつ病(新型うつ病)と呼ばれるうつ病が近年増えています。都市部を中心に増加し、うつ病の中で半数近くを占めるともいわれています。従来の定型うつ病は40~50代に多くみられるのに対して、非定型うつ病は20~30代の特に女性に多くみられることが特徴です。
非定型うつ病は、定型うつ病と症状が異なります。定型うつ病だと、食欲不振や不眠が起こりますが、非定型うつ病ではその逆で、過食や過眠が起こります。
また、定型うつ病だと何をするにも憂うつで意欲や思考が低下しますが、非定型うつ病だと、好きなことや楽しいことに対しては気分がよくなり、逆に嫌なことに対してはひどく気分が落ち込んでしまったりします。楽しいことに対しては、元気になるので、ただのなまけや甘えだと誤解されることもありますが、周囲の人は病気によってそうなっていると理解してあげることが重要です。
その他、極度の倦怠感によって体が動かせなくなる鉛様麻痺の症状も非定型うつ病の特徴的な症状といえるでしょう。体に鉛が入っているかのように重くなってしまい、立ち上がることすらできなくなります。このため、朝起きることができず、会社や仕事を頻繁に休んでしまうようになります。
女性特有のうつ病としては、「産後うつ病」と「更年期うつ病」が挙げられます。ともに女性の身体的要因と心理的要因によって発症すると考えられています。
産後うつ病については、出産後のホルモンバランスの崩れが原因です。エストロゲンやプロゲステロンというホルモンが妊娠中は増加していますが、出産によって一気に低下します。また、プロラクチンという乳汁を促進するホルモンも、出産後は一時減少しますが、授乳によって急激に増加します。これらのホルモンの変動がうつ病につながるといわれています。
また、出産後、育児への不安や戸惑い、家族との関係性の変化などのストレスによってうつ病につながることもあります。産後うつ病は子供への虐待や母子心中に発展してしまうリスクもある早期の対処が必要です。
更年期うつ病については、45~55歳くらいの閉経前後の時に、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が減少することにより発症します。また、この時期は子供が独立したり、親の介護の問題がおきたりと、生活が変化しやすい時期です。それらの環境変化がストレスになり、うつ病につながる場合多いといわれています。
高齢者のうつ病では、抑うつ等の気分障害は目立たず、めまい、頭痛、ふらつき、肩こり、手足のしびれなどの身体的な症状を訴えるのが特徴です。他の身体疾患や、仕事からの引退や配偶者との死別などの環境変化がきっかけとなり発病することがあります。
高齢者のうつ病は、症状が現れたとしても、年だから仕方ないと考えてしまい、医師に相談しないケースも多くみられます。治療の遅れは重症化につながるので、何か不調を感じたら早めに医師に相談するようにしましょう。
うつ病にはさまざまな種類があり、どの種類のうつ病かによって、その病状や発症原因、治療法が異なります。そして、どんなうつ病であっても早期発見、早期治療が重要です。うつ病の症状が出た場合には、まず医師に相談しましょう。