記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/21
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
日常生活の中で、よくからだを動かすことは健康的な体重維持にも役立ち、がんの危険因子を減らすことにつながります。
ここでは、がんの危険因子についてお話します。
からだをよく動かしていると、大腸がんや乳がん、子宮内膜がんなどの危険因子を減らすことができることがわかっています。
そのわけはまだはっきりとわかっていないものの、定期的な運動がホルモン値を正常に保つのに役立つことが研究で明らかになっています。ホルモンのレベルが高いと、がんのリスクが高まる可能性があります。
禁煙は、がん発症の危険因子が大幅に減ります。禁煙するのが早ければ早いほど、その効果は大きく、禁煙が遅すぎるということはまったくありません。
30歳で禁煙する人は、タバコを吸わない人と同じくらい長生きしますが、50歳で禁煙してもタバコによるダメージは半減させることができるのです。
飲酒は、以下のようながんの危険因子です。
・口腔(こうくう)がん
・咽頭(いんとう)がん
・喉頭(こうとう)がん
・食道がん
・男性の結腸がん、直腸がん(女性の場合はほかの要因が考えられます)
・女性の乳がん
あなたは1週間のうちでどれくらいの頻度でお酒を飲んでいますか?ほとんど毎日お酒を飲んでいるなら、健康のために以下のことを試してください。
ビールは中びん1本(500mL)、日本酒は1合(180mL)、ウイスキーはダブル1杯(60mL)、焼酎0.6合(110mL)を各1単位として(アルコール健康医学協会の基準による)、
・1週間に14単位以上の飲酒をしない
・1週間に14単位以上飲むときは、3日以上の間隔を空ける
健康な骨の形成に欠かせないビタミンDを作り出すためには、肌に日光をあてることも必要ですが、日焼けによるほくろやそばかすの変化に気をつけてください。今までより大きくなったり、出血したりするときは、がんの初期症状である可能性があるので、早急に医師を受診してください。
皮膚がんは早期に発見されればされるほど治療が容易になります。日焼けしないよう日光に気をつけることは、皮膚がんを予防するうえで重要です。以下のことに気をつけましょう。
・午前11時から午後3時までは日陰で過ごすようにする
・Tシャツ、帽子、サングラスなどで日焼けしないように対策をとる
・子どもが日焼けしないよう気をつける
・SPF(紫外線防御指数)15以上の日焼け止めを使う
自分のからだを知り、腫れ物や原因がわからない出血といったがんの隠れた徴候に気づくこと、そして、こうした徴候が深刻かどうかについてアドバイスを受けることは大切です。
日本人が、一生のうちに2人に1人は何らかのがんにかかるといわれているくらい「がん」は、すべての人にとって身近な病気です。
「がん」は完全には防ぐことはできませんが、禁煙や肥満を防ぎ、適度な運動で予防できます。健康なからだは1日にしてならず、毎日からだを動かしましょう!!