記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/19 記事改定日: 2019/4/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって、皮膚に赤い斑点や水疱ができる病気です。水疱が治ったあとに、帯状疱疹神経痛が現れることもあります。
この記事では、中高年の帯状疱疹のリスクについて解説しています。
帯状疱疹は、身体の左右片側に刺すような痛みが起こり、赤い斑点や水膨れが帯状に現れる病気です。これは、水痘や帯状疱疹ウイルスによって引き起こります。子供の頃に、水ぼうそうにかったことのある方は、発症の可能性が高まります。これは、水ぼうそうが完治しても体内にウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が潜伏しているためです。加齢やストレスにより免疫力が低下すると、ウイルスが活発化して、帯状疱疹を発症します。
主には60歳代での発症が特に多く、50~70歳代に頻発する病気です。発症部位は、身体の片側に神経に沿って現れます。胸から背中、上半身に出やすく、顔面や目の周りにも症状が出やすいです。
基本的に、帯状疱疹は人に感染しません。ただし、非常にまれではありますが、乳幼児に水ぼうそうとして感染する場合があるといわれています。
帯状疱疹は、湿疹に水膨れができてかさぶたへと変わり、かさぶたがはがれると治っていきます。期間にして、3週間~1ヶ月ほどです。
ただ、これは通常の場合で、中高年では治療が長引くケースも少なくありません。
その理由は、発見の遅れです。中高年になると、皮膚の保湿性やバリア機能が低下して、乾燥性やアレルギー性の湿疹を起こしやすくなります。
また、糖尿病で高血糖になると、かゆみや痛みのる湿疹が出やすくなります。
もともとこういった湿疹があれば、帯状疱疹の初期症状に気づきにくく、医療機関の受診が遅くなる可能性があるのです。
また、目の周りの帯状疱疹は、角膜炎や結膜炎などの目の障害を引き起こす可能性があります。
帯状疱疹によって引き起こされる病気に、帯状疱疹後神経痛と脳卒中があります。
帯状疱疹後神経痛は、湿疹や水ぶくれが治まった後に痛みが残ってしまう状態です。水痘・帯状疱疹ウイルスにより、神経節が傷つき持続的に痛みが生じるために起こります。
若い人の場合は、回復に時間はかかりませんが、中高年以降、とくに高齢では治療に期間を要す傾向があり、合併症のリスクも高まります。基本的に、帯状疱疹後神経痛は、治療の開始時期が早ければ早い程、軽度で治療期間を短縮できるといわれています。
また、「帯状疱疹にかかると脳卒中のリスクが上昇する」という海外の研究機関の報告があります。この報告によれば、脳卒中のリスクは帯状疱疹発症後1~4週間で1.63倍、5~12週で1.42倍、13~26週で1.23倍となっています。特に目に近い場所で帯状疱疹が生じた場合に、リスクがより高まっています。ただ、抗ウイルス薬による治療で脳卒中のリスクは半減するため、早期から治療を受けることである程度回避できると考えられています。
帯状疱疹を発症すると、水疱の滲出液や唾液などに含まれて水痘・帯状疱疹ウイルスが排出されます。ウイルスに感染したからといって感染者が帯状疱疹を発症するわけではありませんが、水ぼうそうにかかったことがない人がウイルスに初めて感染すると水ぼうそうを発症してしまうリスクがあります。
また、中高年を過ぎると帯状疱疹は悪化しやすく神経痛などの合併症のリスクも高くなります。帯状疱疹の症状があるうちはなるべく仕事を休んで安静に過ごすようにしましょう。
帯状疱疹は中高年以降に発症することが多く、治療が遅れると回復までに時間がかかるので、早期発見、早期治療が大切といわれています。また、個人でできる予防策としては、免疫力の低下を防ぐことです。食事のバランス、睡眠、適度な運動、ストレス発散を心がけましょう。