記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/23 記事改定日: 2019/5/15
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
生活習慣病の一種である糖尿病の予防法として、「カルシウムとビタミンDの摂取が有効」という話をご存知でしょうか?
この記事では、両者と糖尿病との関連性と効率の良い摂り方のヒントをご紹介していきます。
カルシウムは、身体の中で一番多く含まれるミネラルです。カルシウムが私たちの骨や歯を成長させるのに役立つのは、多くの人が知っていることでしょう。ただ、カルシウムの働きはそれだけではありません。体内にあるカルシウムのごく一部は、血液の凝固を促して出血防止に作用したり、心筋収縮作用を増加させて筋肉の興奮性を抑えます。
また、ビタミンDは食べ物からの摂取だけでなく、私たちの体内でも生成できるビタミンです。ビタミンDは、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進して血中のカルシウム濃度を維持し、丈夫な骨をつくるサポートをします。
ある厚生労働省研究班の調査で明らかになったのは、ビタミンDとカルシウム両方の摂取量が多い場合に糖尿病発症のリスクが軽減されたことです。
男性で約38%、女性で約41%のリスク低下が分かりました。この調査結果では、男女に関係なく効果が認められたのです。この相乗作用のメカニズムは不明な点も多いですが、個別には次のことが分かっています。
カルシウムは、膵臓に働きかけインスリンの分泌を促します。カルシウム不足は、膵臓からのインスリン分泌に悪影響を及ぼすため、糖尿病へとつながります。
またビタミンDも同様に、インスリン分泌の促進に作用し、同時にカルシウムの吸収を高める役割もあります。ビタミンD不足でこれらがうまく作用しなければ、インスリンが機能しないと推測されています。これらからカルシウムとビタミンDの摂取は、糖尿病に有効であると考えられています。
カルシウムの1日摂取量は、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」によれば成人男性で650〜800mg、成人女性で600mgと設定されています。
しかし、実際の摂取量は男性で平均550mg、女性で525mg程度で、必要量を下回っています。食事からのカルシウム摂取で、許容上限量を超えることはほぼありません。
これは、もともとカルシウムが吸収率の高い栄養素ではないからです。最も吸収率の良い牛乳で50%、小魚類で30%、野菜類で20%程度になっています。
カルシウムを摂るために適した食品は、乳製品(チーズやヨーグルトなど)や大豆製品(納豆や豆腐など)、小魚類(イワシやシシャモなど)、緑色野菜(小松菜、ブロッコリーなど)などが挙げられます。
また、魚類はカルシウムの他にビタミンDを多く含み、糖尿病予防にも適しています。他の栄養バランスも考えながら、これらの食品を毎日の食生活に取り入れてみてください。
糖尿病の発症や悪化を予防するには食事に注意する必要があります。ここでは、糖尿病の予防・改善に役立ち、カルシウムとビタミンDを豊富に摂れるレシピを3つご紹介します。
干ししいたけはビタミンDが凝集して含有量が大幅にアップします。豆腐を加えてマリネにすることでカルシウムもたっぷり摂取でき、カロリーを抑えたメニューが可能になります。
干ししいたけはコンソメスープに入れて柔らかくなるまで戻しておきます。柔らかくなったら戻し汁で良く煮込み、一口大にカットします。お皿に水菜やあく抜きしたホウレン草、トマトなどお好みの野菜を並べ、ちぎった豆腐を干ししいたけを並べ、戻し汁とオリーブオイル、塩コショウなどでお好みに味付けしたドレッシングを回しかければ完成です。
カルシウムとビタミンDが豊富な小松菜ときくらげを炒め煮にすることで脂分とカロリーを最小限に抑えて副菜ができます。
きくらげは水に戻した柔らかくし、適当な大きさにカットします。同じくカットした小松菜と適量の豚挽き肉をフライパンで炒め、おろししょうが・おろしにんにくを加えて香ばしくなるまで良く炒めます。そこにきくらげを投入して火を通せば完成です。
カルシウムとビタミンDの宝庫である鮭を使った洋風レシピで、食事制限中も満足の主菜にすることができるおススメレシピです。
生鮭は酒と塩コショウで味付けします。オリーブオイル・パン粉・粉チーズ、にんにくのすりおろしをよく混ぜ合わせて衣をつくり、鮭の表面に良くまぶします。これを200度に熱したオーブンで15~20分ほど焼いたら完成です。
オーブンを使うことで油分を最小限に抑え、カロリーをオフすることができます。
ビタミンDは、魚類(サケやサンマなど)、キノコ類から摂取することができます。カルシウムとビタミンD、双方を摂取して糖尿病予防にも役立てましょう。どちらも、毎日の食生活にうまく取り入れてみてください。