記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/27 記事改定日: 2019/5/17
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
海藻などに多く含まれるミネラルの一種「マグネシウム」。偏食などによりこのマグネシウムが不足すると、身体にどんな症状が出てくるようになるのでしょうか?マグネシウム不足が招く可能性のあるさまざまな疾患についてご紹介します。
マグネシウムは、体に必要なミネラルの一種で、健康維持に欠かせない大切な栄養素です。
骨や筋肉、血液に多く含まれているマグネシウムには、筋肉細胞や血液に流れこむカルシウムの量を調整する働きがあります。このため体内のマグネシウムが不足すると、血管内のカルシウムが増えすぎてしまい血管壁に沈着しやすくなります。
その結果、血管が固くなって動脈硬化になったり、不整脈や心筋梗塞、狭心症などのリスクが高くなることが想定されます。
糖尿病とマグネシウムには密接な関係があると言われています。
糖尿病とは、細胞にブドウ糖を取り込むのをサポートする「インスリン」というホルモンの働きが弱くなり、体内のブドウ糖をうまく活用できなくなることで血液中のブドウ糖の割合(血糖値)が高くなってしまう病気です。
血糖値が高い状態が続くと、血管が傷ついたり血液をドロドロにしてしまうので、血管の負担は大きくなります。
特に、毛細血管の多い目や腎臓、手足などは高血糖の影響を受けやすく、放っておくと合併症を引き起こしやすくなります。実際に、失明や透析を導入されることになる原因の多くは糖尿病といわれています。
糖尿病は、運動不足や肥満などの生活習慣が原因と言われてきました。この生活習慣の根底には、日本人がもともと欧米人に比べてインスリン分泌量が少ないことや、食の欧米化が進んだことでマグネシウムが不足していることも影響しています。
また、マグネシウムの摂取量が多いと、糖尿病になるリスクが10~20%低くなるとの報告もあり、マグネシウムと糖尿病には密接な関係があると言えるでしょう。
マグネシウムには、さまざまな健康効果があります。
まず、マグネシウムには排便を促したり胃酸を中和する働きがあるため、便秘や胃もたれなどの胃腸障害を改善してくれます。
また、血管内のカルシウムを適量に調整し、血管内の石灰化を予防することで、狭心症や不整脈を防いだり症状を緩和してくれると言われます。さらに、リラクゼーション効果に関わるホルモン「セロトニン」の受け皿として、月経前症候群を軽くする働きもあると考えられています。
マグネシウムはストレスを受けたり、飲酒すると消費量が増えます。特にお酒をよく飲む人の場合、慢性的にマグネシウムが不足している状態にあるので、積極的にマグネシウムを取り入れる必要があります。
マグネシウムは次のような食品に多く含まれます。
マグネシウムの一日の摂取量の目安は、成人男性で350mg、成人女性で290mg程度です。マグネシウム不足を防ぐにはこれらの食材を適度に取り入れるようにしましょう。
また、マグネシウムはカルシウムを摂りすぎると吸収が抑制されることがわかっています。マグネシウムを効率よく摂取するには、カルシウムの過剰摂取は控え、カルシウム:マグネシウムが2:1程度を目安に摂取するようにしましょう。
マグネシウムは、動脈硬化や狭心症などの疾患だけでなく、糖尿病などの生活習慣病の予防に欠かせない栄養素の一つです。サプリだけに頼ると過剰摂取の原因になることもあるので、まずは普段の食事から取り入れて下さい。それでも足りない部分はサプリで補い、一日の摂取量を守りながら継続摂取を心がけ、健康な生活を維持していきましょう。