記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/3/12
記事監修医師
前田 裕斗 先生
化粧水やサプリメントなど、さまざまなものに配合されている「大豆イソフラボン」。女性ホルモンに働きかける効果があると言われていますが、具体的にはどんな美容・健康効果が期待できるのでしょうか?
「大豆イソフラボン」は、大豆の中にわずか0.2~0.4%含まれている貴重な天然の成分です。胚芽(胚軸)の部分に集中的に多く含まれている、ダイゼイン、ゲニスチン、グリシチンなどの成分の総称で、大豆の「えぐみ」成分のひとつと考えられています。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」に似た作用を持ち、エストロゲンの持つ、女性らしいふくよかな体つきや美しい肌を守るといった働きを補って、幅広く活躍します。エストロゲンの分泌をうながすとともに、不足しているエストロゲンを補い、同時に、過剰なエストロゲンの分泌を抑える作用もあります。
大豆イソフラボンの優れた特徴のひとつは、ホルモンの過不足を調整する働きがあるということです。ただし、その効力は本物のエストロゲンの1,000分の1から10,000分の1といわれ、体にやさしく穏やかで安心な天然成分とされています。
まずあげられるのは、「更年期障害の症状を改善する効果」です。更年期障害は、年齢とともに卵巣の機能が衰えたり、無理なダイエットやストレス、喫煙、睡眠不足などの生活習慣が原因となって、エストロゲンの分泌が減少することで起こります。大豆イソフラボンには、エストロゲンの分泌をうながしてこれらを改善する効果があります。
また、「骨粗しょう症を予防する効果」も期待されています。エストロゲンの分泌が減少すると、骨にカルシウムを蓄えておく力が低下し、骨がもろくなってしまいますが、大豆イソフラボンには、骨の中のカルシウムを溶けださないようにするとともに、骨量を増やす働きがあるとされます。
そのほか、肌の弾力性を保ちしわを改善する美肌効果、血液中に増えすぎたコレステロールを減少させることによる生活習慣病の予防・改善効果、血流、自律神経のバランスの改善、腸内環境を整える作用もあります。
女性ホルモンには、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と「エストロゲン(卵巣ホルモン)」があります。プロゲステロンには生理(医学的には月経というのが一般的です)をもたらして妊娠の準備をする働き、エストロゲンには女性らしい体つきや肌、健康状態を保つ働きがあるといわれています。しかし、加齢や体重の急激な増減、不規則な生活やストレスなどによって、これらの女性ホルモンの分泌量は減ってしまいます。
そして大豆イソフラボンは、エストロゲンの受け口であるエストロゲン・レセプターに結合する能力によって、体内で女性ホルモンのような作用を発揮するとみられています。不足したエストロゲンを補い、また、エストロゲンの分泌をうながしたり抑えたりすることで、ホルモンのバランスを調整したり過剰なプロゲステロンにより太りやすくなった体質を改善するなど、女性ホルモンと多く関わりながらさまざまな効果を発揮します。
もともとエストロゲンには、コラーゲンやヒアルロン酸の生成をうながし、肌を美しく滑らかに保つ働きがありますが、大豆イソフラボンも体内で同じような役割を担うことができると考えられています。また、大豆イソフラボンには抗酸化作用があり、日常的に浴びている紫外線やストレスにより発生する活性酸素からコラーゲンの分解を防ぎ、肌のみずみずしさを保つ効果があります。そのほか、皮脂の分泌量を整えたり、メラニンの生成を抑制する作用、抗炎症作用、肌の新陳代謝や水分量を整える効果もあると言われています。
こうした効果を最大限に引き出すには、「保湿」を組み合わせること、コラーゲンの生成に必要不可欠な美肌成分「ビタミンC」を同時にとること、肌の新陳代謝が活発になる22時から2時までの時間帯に「良質な睡眠」をとること、そして決まった量を「安定的・継続的に摂取」することが大切です。
大豆イソフラボンには、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌をうながし、同時にホルモンのバランスを調整する働きがあります。その効果は、更年期障害の緩和、骨粗しょう症予防、美肌などとても幅広いものです。上手に生活に取り入れて、健康的な美しさを保ちましょう。