記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/2 記事改定日: 2019/6/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
栄養ドリンクなどによく配合されている「タウリン」。このタウリンには、どんな健康効果が期待されているのでしょうか?摂取量の目安と併せてご紹介していきます。
タウリンとは、動物の身体の構成に必要なアミノ酸の一種で、主にヒトを含む動物の組織に存在しています。
ヒトの体内には、自ら合成したものと食品から摂取したものの2種類のタウリンがありますが、そのうちおよそ5〜8割のタウリンが筋肉内にあるとされています。
タウリンは植物よりも動物性の食品に多く含まれていて、厚生労働省によって医薬品成分に指定されている成分です。化学的に合成した医薬品として、またウシの胆汁や魚介類エキスから作成した食品として、タウリンの取り扱いが認められています。
タウリンには、以下のような効果が期待できるといわれています。
肝臓は、身体にとって毒となるアルコールや食品添加物、化学物質などを分解・解毒し、代謝させ、老廃物として排出させる機能を持っています。タウリンには、その肝臓での解毒に必要な胆汁の分泌を促し、肝細胞を活性化させる作用があるため、肝臓の働きを助ける効果があります。
また、タウリンそのものにもアンモニアなどを分解し、尿や便として排出させるという穏やかな解毒作用が認められています。
タウリンの摂取によって胆汁の分泌が促進されると、胆汁の合成に必要なコレステロールの消費も促進されます。このため、タウリンの摂取によって、コレステロール値を下げる効果も期待できるのです。
タウリンにはコレステロール値を下げる作用があるため、コレステロール過多が原因で起こる血管の閉塞や、血管の硬化を防いでくれると考えられています。このため、心筋梗塞や脳梗塞の誘因となる動脈硬化を予防する効果も期待できます。
タウリンには、身体の各組織・器官を、通常あるべき状態に保とうとする作用があります。この作用により、高血圧の原因となる交感神経の過剰反応を抑えることができるため、高血圧の予防対策としても効果的とされています。
タウリンは野菜や果物を除いた様々な食品に含まれています。タウリンを多く含む食品としては、カニ、イカ、タコ、エビ、アジ、サバなどの魚介類、シジミ、サザエ、カキなどの貝類に多く含まれています。特に魚は血合いの部分に多く含まれていますので、積極的に摂取するようにしましょう。
なお、タウリンは水に溶けやすい性質を持つため、効率的に摂取するにはお吸い物や煮物、蒸し料理などにするのがおススメです。
最後に、タウリンを摂取するうえで把握しておきたい、タウリンの適切な摂取量や副作用の可能性についても、確認しておきましょう。
タウリンの健康効果を得るためには、1日あたり500mg、できれば3000〜6000mgを目安に摂取することが推奨されています。ただ、一般的に1日の食事から無理なく摂取できるタウリンの量は50〜300mg程度と言われているため、食事だけですべてをまかなうのは難しいです。
タウリンによる健康効果をしっかり得たいと考えているなら、普段の食事とあわせて、栄養ドリンクやサプリメント等の服用による摂取も、検討すると良いでしょう。
1日に大量のタウリンを摂取しても、余分なタウリンは体外に排出されていくため、タウリン過剰摂取による健康被害、副作用は基本的にないと言われています。また同時に、1日に摂取量目安以上の大量のタウリンを摂取したとしても、直ちに健康効果が増進するものでもありません。
このことから、1日の摂取目安量を守った範囲で、できるだけ多く継続的に摂取するのがおすすめです。
タウリンを栄養ドリンクから摂取する場合、注意すべきはカフェインの含有量です。
栄養ドリンクには、食品よりも多量のタウリンが含まれていますが、同時に大量のカフェインが含まれていることが多いです。
タウリン摂取のために栄養ドリンクを多量に摂取すると、急性カフェイン中毒や不眠、精神不安などの症状を引き起こす恐れがあります。
栄養ドリンクからタウリンを摂取する場合は、カフェイン含有量に注意を払い、カフェインの摂取が1日あたり500mgを超えないように注意してください。
タウリンは、ヒトの身体を健康な状態に保つために欠かせない栄養成分です。また、体内での合成量が少ないため、食品やサプリメント、栄養ドリンクなどから積極的に摂取する必要があります。さまざまな効果が期待できますので、興味のある方は、ぜひ日々の生活習慣に少しずつ取り入れてみてくださいね。