記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/7 記事改定日: 2019/9/18
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「ダイエット中は下痢になりやすい」という話を聞いたことはありませんか?なぜ、ダイエットをすると下痢になることがあるのでしょうか。また、「下痢をすると太りやすくなる」という話もありますが、それは本当でしょうか?
ダイエットの中でも、糖質制限ダイエットは下痢になりやすい傾向があります。特に、医師や栄養士など専門家のアドバイスを受けずに、自分の判断で糖質制限ダイエットをする人が下痢になりやすい傾向があります。
糖質制限ダイエットをするとき、主食となるご飯やパン、麺類の摂取を控え、タンパク質や脂質、食物繊維の摂取を増やします。こうした食生活の変化によって腸内バランスが乱れて下痢の原因となります。特に、糖質を制限して肉や魚などタンパク質の摂取量を増やした食生活にシフトしてしまうと、悪玉菌が優勢となってしまうため、腸内環境が悪くなりがちです。
また、最近は糖質制限中でもパンや菓子類などが摂取できるよう、小麦ふすま(ブラン)やエリスリトールなどの糖アルコール類、イヌリン、難消化性デキストリンで代用して作られた商品もありますが、これらもたくさん食べると下痢の原因となるとされています。
下痢をすれば体内の不要なものが排泄されるため、痩せるような気がするかもしれません。しかし、下痢をするとやせるどころか、かえって太りやすくなるのです。
下痢をした場合、やせられるのは実はほんの一時的なものです。下痢によって胃腸の動きが活発になり、消化管内が空っぽになります。そうすると、体は次に摂取した栄養をできるだけ体内に取り込もうとするだけでなく、その栄養を逃がさないように代謝を落とします。その結果、栄養がため込みやすくなり太りやすくなってしまうのです。
まず、ダイエットを徐々に実施することが大切です。はじめから激しい運動と、厳格な食事制限をしていると、下痢を招いてしまいます。軽い運動、食事制限から初めて、徐々に負荷をかけていきましょう。
また、腸内細菌のバランスを崩さないようにバランスの良い食事を心がけることが大切です。特に、代替食品への切り替えをしている人は、その食品の摂取量や食物繊維の摂取量をいま一度見直して、過剰摂取していないかをチェックしましょう。水分の摂りすぎるも下痢を招くため、水分量の調整も大切です。
水溶性食物繊維は腸内の善玉菌に分解され、産生される短鎖脂肪酸は下痢の改善にとても大切な働きをします。短鎖脂肪酸は大腸から体内に吸収され、水分やミネラルなどの吸収をスムーズにしてくれるため下痢の改善につなげることができます。摂りすぎると下痢を誘発する可能性のある食物繊維ですが、水溶性食物繊維は適量を摂取し続けることをお勧めします。
また、腸内環境を見直すためには漬け物、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を積極的に摂るプロバイオティクスという方法や、善玉菌と、その餌となる食物繊維を同時に摂るシンバイオティクスという方法もあります。腸内環境を見直してダイエット中の下痢を避けたいという人は、ぜひ参考にしてみてください。