記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/4/11 記事改定日: 2019/7/12
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
手足口病は、5歳以下の乳幼児に多い感染症です。数日以内に治ることが多いといわれていますが、保育園や幼稚園などへ登園再開する目安はいつごろなのでしょうか。子供へのケアとあわせて解説していくので、参考にしてください。
「手足口病」は、手足や口の中などに水泡性の発疹が出る、ウイルス性の感染症です。主に夏に流行しますが、感染者の9割前後を5歳以下の乳幼児が占めています。
乳幼児は、子供達同士の生活距離が近く、濃厚な接触が生じやすいものです。また、衛生観念もまだ発達していません。こうしたことから、この年齢層が集団で過ごすことの多い保育施設や幼稚園などでは集団感染が起こりやすいので注意が必要です。
通常、感染してから3~5日後に、手のひら、足の裏や甲、口の中などに2~3mmの発疹があらわれ、発病者の3分の1ほどには軽い発熱もあります。
ほとんどは、数日間のうちに治りますが、まれに中枢神経系の合併症やそのほかさまざまな症状がでることがあります。原因となるウイルスが複数あり、その種類によって合併症がでやすかったり、治ってから1ヶ月以内に一時的に手足の爪が抜け落ちたりすることもあります。
手足口病は、感染症法で「5類感染症定点把握疾患」(国が発生動向調査を行って情報提供し、発生・まん延を防止すべき感染症)に定められていますが、学校保健法では、学校で予防すべき伝染病1~3種には含まれていません。
手足口病は潜伏期間にも感染する病気であり、症状が回復してもウイルスは2~4週間にわたって排泄されることもあります。
つまり、急性期のみ登園を停止して流行しないようにしたとしても効果はあまり期待できず、感染しても軽症であることから、患者本人の症状や状態によって判断すればよいと考えられています。
厚生労働省では「発熱や口腔内の水泡・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること」を登園の目安としています。発症から数日後ほどを目安に、子供の様子を見ながら医師や保育所、幼稚園と相談して登園日を決めていきましょう。
手足口病では、症状によって対症療法が用いられることもありますが、特別な治療をしなくても自然治癒していくことが多いです。
ただ、口の中の水泡が破れて潰瘍ができると痛みで食べることや飲むことができなくなってしまい栄誉不足や脱水症状を引き起こしてしまうことがあります。
登園するまでのホームケアとして大切なのは、まず「口当たりの良いものを食べさせる」ことです。
ヨーグルトやゼリー、栄養のある冷ましたスープなど、食べやすくのどごしの良いものを数回に分けて食べさせてあげましょう。
手足口病は痛みを伴う水疱が口の中にもできるため、重症な場合は水分を摂れなくなってしまうこともあります。脱水を防ぐには、痛みがある場合でも少しずつ水分を補給することが大切です。
水分補給のコツとしては紹介したいものは
ことです。また、水分にとろみをつけるとすんなり飲めることもありますので試してみましょう。
食事も摂れないときは体の中の電解質が失われがちになります。ミネラルウォーターやジュースではなく経口補水液などで必要な栄養や電解質を摂るようにしましょう。
手足口病は、一般的に症状が軽く自然に治癒する感染症です。登園については子供の症状や状態によって判断してもいいでしょう。数日を目安に医師や保育園、幼稚園と相談して決めましょう。登園までは、こまめな水分補給と無理のない口当たりのよい食事で治るのを待つようにしてください。