記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/1 記事改定日: 2019/3/13
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
カンジダ菌が原因となる症状といえばカンジダ腟炎やカンジダ性皮膚炎などがよく知られていますが、カンジダ菌はのどで増殖して「口腔カンジダ症」や「食道カンジダ症」を引き起こすこともあります。
今回は、そんな「口腔カンジダ症」や「食道カンジダ症」の症状や治療法を解説します。
口腔カンジダ症や食道カンジダ症の原因となるカンジダ・アルビカンスという真菌は常在菌と呼ばれ、私たちの体内に常に存在しています。
健康な場合は影響を及ぼすことはありませんが、体の免疫が低下すると増殖してさまざまな症状を引き起こすようになります。
その中でも、カンジダがのどで増える原因は以下の通りです。
患部がそれほど広がっていなければ、鈍い痛みやのどの乾燥感などの症状がみられます。
炎症の範囲が広がると、出血や非常に強い痛みがあわられ、食べ物や飲み物を飲み込むことが辛くなってきます。
また、のどには赤みを伴った白い斑点が多数でき、この斑点は剥がそうとしても簡単に剥がれず、進行すると口蓋や頬、舌の粘膜などにも病変が広がってしまいます。
さらに、斑点が食道方向に広がると嚥下困難の症状はますます強くなります。
口の中に発症するカンジダ症には大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
口の中の粘膜や舌などが白苔のような偽膜に覆われるタイプのカンジダ症です。偽膜は飲食などの些細な刺激で簡単に剥がれ、口の中にぼそぼそとした違和感が生じます。
痛みやかゆみなどは伴わないことがほとんどですが、偽膜が剥がれる際に粘膜にダメージが加わり、出血を引き起こすことがあります。
病気などで免疫力が低下している人や乳幼児に発症しやすい傾向にあります。
典型的なカンジダ症の白苔などは生じず、口の中の粘膜や舌に発赤やびらんなどを形成するタイプのカンジダ症です。舌の表面に密生する「乳頭」と呼ばれる突起が萎縮することで舌が全体的に赤みを帯びることが多く、口角炎を併発するケースも見られます。
ヒリヒリとした痛みを伴うことも少なくありません。
口腔内に常在するカンジダが食道内に侵入し、食道で異常増殖する病気です。
胸焼けや胸痛、嚥下痛などを引き起こすのが特徴で、胃カメラ検査を行うと食道粘膜に白苔を伴う粘膜病変が見られます。
多くは口腔カンジダ症も同時に発症しており、エイズや免疫抑制剤内服中など免疫力が過度に低下した状態の人に発症します。このため、食道カンジダ症がエイズなどの病気の発見につながることも少なくありません。
口腔カンジダ症や食道カンジダ症は基本的に抗真菌剤のうがい薬、塗り薬、内服薬などを使って治療します。また、カンジダ症が起こる原因となった病気があれば、その治療も並行して行われます。
食事で食道がしみる・胸やけなどの症状がみられて日常生活に支障が出るという場合には、抗真菌薬を 1 週間ほど内服します。痛みなどで抗真菌剤を内服できない場合には注射によって対処します。
早ければ服用から数日で症状は改善しますが、自己判断で治療を途中でやめてしまうと再発する可能性が高くなるので、医師から許可がでるまでは治療を続けるようにしましょう。
のどのカンジダ症の予防には、こまめにうがいをすることや舌や口腔粘膜の掃除をすることで口の中を清潔に保つことが何よりも大切です。
義歯がある方は義歯が汚れていたり傷ついていたりするとカンジダ菌が増殖しやすいので、義歯を清潔にするよう注意しましょう。
また、口腔が乾燥している(ドライマウスなど)場合には唾液分泌や口腔の保湿を促すような口腔ケアも合わせて行いましょう。
カンジダ菌はのどで増殖して「口腔カンジダ症」や「食道カンジダ症」を引き起こすことがあります。
進行すると症状が悪化して嚥下困難になり、食べ物や飲み物を飲み込むのが辛くなります。
特に免疫力が低下していたり抗生物質を長期的に服用している場合はカンジダ菌が増殖しやすくなるので、のどの痛みや違和感を感じたら症状が比較的軽いうちに病院で治療を受けるようにしましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。