記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
トキソプラズマ症は、トキソプラズマと呼ばれる小さな寄生虫によって引き起こされる感染症です。これは、猫や豚などの動物の腸内に生息しています。
ほとんどの人は、寄生虫が病気を引き起こさないよう自己の免疫システムで体を守っているので、症状はありません。トキソプラズマ症を有する人は、以下のようなインフルエンザに似た症状を経験することがあります。
・腫れたリンパ節
・疲労
・頭痛
・身体の痛み
・熱
免疫システムが弱っている人の場合、トキソプラズマ症は以下のような深刻な症状を引き起こす可能性があります。
・混乱
・視界のぼやけ
・バランスと運動感覚の問題
・発作
・肺の問題
免疫システムは、何らかの理由で弱くなることがあります。後天性免疫不全症候群(AIDS)をもたらすヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染は、免疫系を弱める可能性があります。何らかのがんの化学療法や、臓器移植の後に摂取する薬も同様です。
妊娠中に感染した場合、胎児も感染することがあります。感染した赤ちゃんは、どんな病気も発症しないこともありますし、反対に脳や目に深刻な損傷を与えるような重篤な病気になるかもしれません。
以前にトキソプラズマに感染している場合(少なくとも妊娠から6~9カ月前)には、免疫力を発揮します。このため、妊娠した時点で感染が活発になることはありませんので、赤ちゃんへのリスクはほとんどありません。
以下の方法でトキソプラズマ症になることがあります。
・猫の糞が入っている猫用のごみ箱やトイレの中にいる寄生虫を飲み込んでしまう。これは、ガーデニングや猫のトイレの清掃、または猫の糞と接触しているものに手が触れた後、その手を口に入れる時に起こります。 猫は、特に動物を捕まえたり、生肉を与えたりすると、トキソプラズマ症の原因となる寄生虫を保菌することがあります
・生のものやあまり調理されていないもの、特に豚肉、子羊、野生動物を食べる
・生の肉や未調理の肉に触れたまな板や食器などを触った後、その手を口の中や口の近くに触れること
・洗っていない生の果物や野菜を食べること、または寄生虫の入った水を飲むこと
臓器移植や輸血を受ける人は、臓器や血液が感染していた場合にトキソプラズマ症を発症する可能性がありますが、 こうしたケースはほとんどありません。
トキソプラズマ症の日常的な検査は推奨されていません。 しかし、免疫システムが弱いためにトキソプラズマ症のリスクがある場合、医師は血液検査を受けることをお勧めします。
トキソプラズマ症を予防するためにできることは、以下のとおりです。
・ペットの汚物を扱うときは、手袋を着用する。猫は庭や砂場をトイレとして利用することがあるため、使用していないときは、子どもの砂場をカバーで覆う
・屋外での活動の後、特に食べ物や食事を準備する前に、石けんと温水で手を洗う
・生の肉、土、砂または猫を触った後、手をよく洗う
・可能な限りハエとゴキブリを駆除する。 ハエやゴキブリは、食べ物に汚染された土や猫の糞を撒き散らす
・生肉、鶏肉、シーフードや洗われていない果物や、野菜を置いたまな板や皿などを清潔にするために、食品用洗剤を使用する
・食べ物を準備するとき、目や顔をこするのは避け、調理カウンターは後できれいに拭き取る
・肉や鶏肉を、内部まで火が通るまで、または肉汁が透明になるまで(肉の温度計で約71.1℃以上で調理する。調理が完成する前に、肉の味見はしない
・外食するときは、調理が不十分な肉を食べない
・洗っていない果物や野菜は避ける
・特に発展途上国に旅行するときは、未処理の水を飲まない。 また、殺菌されていないヤギのミルク、生の卵、またはヤギのミルクから作られた非殺菌の製品を飲むことも避ける
はい。ご自身の免疫システムが弱い場合、トキソプラズマ症を予防するためにできることはいくつかあります。
・猫が捕ってきた動物からトキソプラズマ症の寄生虫をもらわないよう、室内で猫を飼う
・できれば、妊娠中は他の人に猫を世話を頼む
・猫にはドライキャットフードまたは缶詰のキャットフードだけを与える。人間と同様、ネコは生の肉や未調理の肉を食べることによって、トキソプラズマ症に感染することがある。
・野良猫や、生の肉を与えられた可能性がある猫など、新しい猫を家の中に連れて来ない。迷い猫や迷い子猫の世話しない。
・健康で妊娠していない人に、猫用トイレを掃除してもらい、沸騰したお湯で5分間消毒してもらう。猫の汚物を自分で交換しなければならない場合は、手袋を着用する。終わったら、石けんと温水でよく手を洗う。猫用トイレは毎日清掃する。
猫は生きている間の数週間(通常は最初に感染した後)、糞の中にトキソプラズマ症を広げるだけなので、猫の排泄物内のトキソプラズマ症寄生虫の有無について検査することには何のメリットもありません。
トキソプラスマ症は、通常、抗生物質で治療されます。
・猫を飼っており、妊娠していることがわかりました。 トキソプラズマ症について検査すべきですか?
・妊娠している間に猫を飼っても安全ですか?
・どのような治療法が最適ですか?
・おなかの中の赤ちゃんがトキソプラズマ症に感染しているかどうかは、どうすれば分かりますか?
・胎児を守るにはどうすればいいですか?
・生のステーキを食べてもいいですか?
・猫は外に出していません。 猫はトキソプラズマ症を有する可能性がまだありますか?
・まな板をきれいにするときに、水はどのくらいの温度がいいですか?
・一番安全性の高い抗菌まな板はありますか?
・自動猫用トイレは通常の猫用トイレより安全ですか?