記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
クロストリジウム・ディフィシル (以下、CD)は、多くの人の腸に住む細菌の一種です。人間にとって、 CDは 腸内に生息する細菌の正常なバランスを保つために必要なもののひとつで、土壌、水、動物の糞便などにも存在します。
ほとんどの人は、CDによる影響を受けることはありません 。 しかし、何かの要因で腸のバランスを乱した場合、CDは制御不能になり始める可能性があります。 そうするとCDが、腸の粘膜を攻撃する毒素を放出し始め、感染の症状を引き起こすのです。
軽度の クロストリジウム・ディフィシル感染の 典型的な症状として、以下が含まれます。
・1日3回以上、水のような下痢が数日間続く
・腹痛または圧痛
さらに、重症のCD感染の症状には以下のようなものがあります。
・毎日15回以上の水のような下痢
・重度の腹痛または圧痛
・食欲低下
・子どもの場合は38℃、大人の場合は37℃~39℃ぐらいの熱
・血便
抗生物質の服用を開始した後に症状が現れたら、医師に連絡してください。 また、症状が3日以上続く場合や、悪化した場合にも電話してください。
あなたが健康であれば、おそらく CD感染になることはありません。 CD感染の最も一般的な要因は抗生物質の使用です。 抗生物質は、腸内の正常なバランスを乱すことがあります。
CD感染の要因として、以下のようなものがあります。
・抗生物質の使用、特に広域スペクトラムの抗生物質(さまざまな細菌を治療できる)、または長期間抗生物質を服用していた場合
・消化管の外科手術
・腸を動かす必要がある腹部の手術
・入院
・介護施設または老人ホームでの生活
・過敏性腸症候群または大腸がんといった結腸の問題
・免疫系の衰え
・CD感染の既往歴がある
・65歳以上
便サンプルの検査で、 CDがあるかどうかを判断できます。 診断を確認するために、何度か検査を行う場合もあります。また、特定の状況では、結腸のX線またはコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを行うことがあります。
何の症状がなくても、CD検査が陽性になる場合もあります。これは「CDの定着」として知られてい ます。CDの保菌者でも、CD感染がない人もいます。陽性の検査結果に加えて症状があると、活動的なCD感染があることを示します。
症状が始まったときに抗生物質を服用していたら、それを中止するよう医師から指示があるでしょう。 また、重度の下痢があった場合、脱水症状がないかチェックされることがあります。CD感染の原因となった抗生物質の投与をやめてから2~3日後には、患者の約25%が改善を示しています。
ただ、より重度の症例の場合、医師はCD感染の治療に有効であることが判明している抗生物質(例えばメトロニダゾールまたはバンコマイシンなど)を10日間分処方することがあります。下痢が一時的に再発することがありますが、薬を開始してから72時間後に改善するでしょう。 約15%~35%の症例では、もう1回分の抗生物質が必要になります。
自宅でできるケアとして、以下のようなものが含まれます。
・下痢により失われ体液を補うため、多量の飲み物を飲む
・乳製品や小麦粉を含む食品(消化管は、数日間これらに対して非常に敏感になっている可能性があります)と高繊維食品(果物、トウモロコシ、小麦ふすまなど)を一時的に控える
下痢があり、それがCDによって引き起こされている可能性がある場合、下痢止め薬を使用する前に医師に確認してください。下痢止め薬は感染症を悪化させる可能性があります。
感染が悪化すると、脱水したり、便が出なくなることがあります。まれに、 CD感染は敗血症(血液を通って広がる重篤な感染)または腸に穴を空けてしまう可能性があります。
CDの因子(CDの不活性な形態)は、物の表面(便座、電話、ドアノブなど)に長時間生存できるため、感染を避けるためには衛生状態を清潔に保たないといけません。
・石鹸と水を使って頻回にしっかりと手を洗う
・CDを持っている可能性がある人の世話をするときは、使い捨て手袋を使用する
・塩素系漂白剤の製品を使用して、感染した人に接触した可能性のある表面や物品を消毒する
・便で汚染されている可能性のある衣類は洗剤と塩素系漂白剤で洗濯する
・医療施設内の誰かを訪問する場合、特にトイレを使用する場合は、訪問する前、訪問中および訪問後に手を洗う
・医師がすすめる場合を除き、抗生物質を使用しない
・CD感染がある場合、食べる前とトイレを使用した後に、手を石けんと水で洗う。そして、塩素系漂白剤の製品を使用して、触れた可能性のある表面(ドアノブ、電話機、キーボードなど)を清掃し、他人に感染を広げることを防ぐ
・抗生物質の服用を止めるべきですか?
・下痢がある場合、いつ医者に相談すべきですか?
・どうしてクロストリジウム・ディフィシルに感染したのですか?
・私の母親は養護施設にいて、現在クロストリジウム・ディフィシル感染症が流行しています。 母に検査を受けさせるべきでしょうか?
・クロストリジウム・ディフィシルのキャリアと診断されています。友人や家族にはどのような予防措置を取る必要がありますか?
・憩室炎があります。クロストリジウム・ディフィシル感染の危険にさらされていますか?
・どのような治療法が最適ですか?
・クロストリジウム・ディフィシル感染症を1回発症した場合、再び感染するリスクが高いのですか?