子供の唇のヘルペスの症状と治療時の注意点とは?

2018/5/8 記事改定日: 2019/3/27
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

唇にできるヘルペスを口唇ヘルペスといいますが、初めて唇に単純ヘルペスウイルスが感染したときに現れるのがヘルペス性歯肉口内炎です。
この記事では、ヘルペス性歯肉口内炎の感染経路や症状、治療法について詳しく解説していきます。

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初めて子供の唇にヘルペスできると、どんな症状が出る?

ヘルペス(皮ふや粘膜に小さな水ぶくれが集まった状態)はウイルスによる感染症で、原因となるウイルスには8種類があります。

唇に感染して症状を引き起こすのが「単純ヘルベスウイルス」で、口の中の粘膜や唇の小さな傷から入り込んで感染し「ヘルペス性歯肉口内炎」を発症します。

突然起こる病気で、生後6カ月~5歳までの子供に多くみられます。唇や口の中に水ぶくれ(ヘルペス)ができるほか、痛みやよだれの増加、口の中の痛みから食事がとりにくくなる、40℃以上の高熱がでる、歯茎が膨らむ、といった症状が現れます。

他にも似た症状が現れる病気もありますが、水ぶくれが歯茎、唇、舌、上顎、扁桃腺、のど、口の周りの皮ふなど広い範囲にあらわれるのがヘルペス性歯肉口内炎の特徴です。

一般的に水ぶくれは2~3日間で治まりますが、その後はただれたようになり、黄色っぽい膜でおおわれることもあります。また、首のリンパ節が腫れることもあり、これは数週間続くことがあります。

ヘルペスウイルスには、一度感染すると症状が治まった後も神経組織の中に潜み、生き続けるという性質があり、抵抗力が低下すると潜んでいたウイルスが出てきて再び増殖し再発を繰り返します。

子供のヘルペスでも薬を使っていいの?

ヘルペス性歯肉口内炎は、治療しなくても7~14日で症状が治まることがほとんどです。しかし、重症化を防いだり治癒までの期間を短くするために、薬が使われることもあります。

治療薬として、一般的に「アシクロビル」という抗ウイルス剤が使われます。子供の体重1kgあたり40mgを、1日4回に分けて5日間服用する場合が多いですが、薬のメーカーによって用法が異なることがあるので医師の指示通りに服用するようにしましょう。

また、口の中やのどの痛みなどで飲み薬の服用が難しい場合は、点滴での治療が行われることもあります。特に、水分がとれない場合には、病院での管理のもと、子供の体重1kgあたり15mgのアシクロビルの点滴を、1日3回に分けて5日間入院投与する場合もあります。

子供のヘルペスで市販薬を使ってもいい?

市販のヘルペス薬にも原因となるウイルスの活性を抑える効果があります。しかし、市販のヘルペス薬は再発の時に使用するのが望ましく、初感染の場合は唇や口の中の皮疹だけでなく、発熱や倦怠感などの全身症状を引き起こすことも少なくありません。
特に小さな子供の場合は初感染の可能性が高いため、基本的には病院を受診してそれぞれの症状に合わせた治療を行うようにしましょう。

子供にヘルペスができたら何科に行けばいい?

痛みがひどく子供が食事したがらないときや、高熱があるときには、すぐに病院を受診しましょう。
一般に口内炎は耳鼻咽喉科が専門といわれていますが、子供のヘルペス性歯肉口内炎の場合は、口腔外科もしくは小児科で診てもらうことをおすすめします。

内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、一般の歯科でも可能ですが、口内炎の診察ができるかどうかは病院によって異なりますので、事前に確認しておいた方がいいでしょう。小児科の場合も一度電話やホームページで確認してから受診する方が安心です。

発症時期や繰り返しの有無、発熱や痛みの程度、飲食など日常生活を送るうえでの問題の有無、口内炎以外の症状などを聞かれるので、答えを準備しておくと診療がスムーズに進みます。

子供の口内炎は、ヘルパンギーナや手足口病などが原因の可能性もあるので、ほかの症状があらわれていないかのチェックが必要であり、診察のときには、ほかの病気が関連していないか確認しながら治療が必要かどうかを判断し、原因に合わせた治療が行われることになります。

治療期間中の注意点は?

子供が小さいと、痛みで食事や飲み物をとらなくなってしまうことがあり、脱水症状を引き起こすおそれがあります。

食事や飲み物をとらなくなったときには、冷たい飲み物やアイスクリーム、ヨーグルトなど、子供が食べやすいものを食べさせてあげましょう。
赤ちゃんの場合には、おしっこの量や唇の乾燥、汗の量などに注意して脱水のサインを見逃さないようにしてください。

おわりに:自然に治まる病気ですが、症状が重ければ口腔外科や小児科に受診しよう

ヘルペス性歯肉口内炎になると、ヘルペスは唇のほか口の中や周り、のどまでにも広がり、痛み、高熱、首のリンパ節が腫れることもあります。治療をしなくても症状は1~2週間ほどで自然に治まりますが、症状により日常生活が難しいようであれば、口腔外科や口腔を診ることのできる小児科などで治療を受けるようにしましょう。

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