記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肝硬変や肝臓がんに進行することもある、ウイルス性肝炎の一種「B型肝炎」。このB型肝炎の治療法とはどのようなものでしょうか?治療にかかる期間や費用と併せて、詳しく解説します。
B型肝炎の治療には、「抗ウイルス治療」と「肝庇護療法」があります。
抗ウイルス治療とは、B型肝炎ウイルスを攻撃し増殖を抑制する治療です。以前は注射薬(インターフェロン)による治療が主流でしたが、2000年に飲み薬(核酸アナログ製剤)での治療という選択肢も新たに登場しました。
インターフェロンは、ウイルス感染時に体内で生成されるタンパク質の一種です。抗ウイルス作用や免疫を強めることで、ウイルスの活動を抑制します。35歳未満で、遺伝子型がAかBの患者さんに推奨される治療法です。
一度効果が出ると投与終了後も効果が持続しますが、発熱などの副作用が高頻度で出現するため、高齢の患者さんは実施が難しい側面があります。
B型肝炎ウイルスの遺伝子をつくる「核酸」の合成を阻害することで、ウイルスの増殖を抑えます。現在はラミブジン、アデフォビル、エンテカビル、テノフォビルの4種類の薬が使われています。インターフェロンと比べ副作用が少ないため、高齢の患者さんでも実施しやすい治療法です。
肝庇護療法とは、肝臓の炎症を抑制・保護し、肝機能を改善する治療です。ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン製剤、小柴胡湯などの薬が用いられます。
B型肝炎でインターフェロン治療を実施する場合、治療期間は24〜48週間です(基本的には48週間の投与が望ましいですが、患者さんの状態に合わせて実施期間は異なります)。
一方、核酸アナログ製剤は、基本的に長期間飲み続ける必要があります。
B型肝炎の抗ウイルス治療(インターフェロン治療や核酸アナログ製剤治療)は、医療費助成の対象となっています。そのため、申請を行えば治療にかかる費用の自己負担を減らすことができます。自己負担額は、患者さんの世帯の市町村民税課税年額によって以下のように異なります。
現在の医療では、治療を行ってもB型肝炎ウイルスを完全に排除し、完治することはできません。しかし、治療を通じてウイルスの増殖を抑制すれば、症状の進行を抑え、肝硬変や肝臓がんを予防することにつながります。
B型肝炎の抗ウイルス治療では、注射薬による治療と飲み薬による治療があります。患者さんの年齢や状態によって選択される治療法は異なりますが、いずれも医療費助成の対象のため、治療にかかる費用は軽減されます。症状を進行させないためにも、B型肝炎と診断されたら早めに治療を開始しましょう。