記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/11 記事改定日: 2019/6/7
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
黒いものが混ざった下痢をすると、誰もが不安になってしまうのではないでしょうか。
そこで今回は、黒い便が出る理由をご紹介します。
健康な便は黄土色~茶色をしています。これは肝臓から分泌されている胆汁に含まれるビリルビンの影響です。
ビリルビンは酸性であれば、黄色がかった茶色、アルカリ性であれば黒っぽい色になる性質を持っています。
ただ、ビリルビンの影響で黒色がみられた場合にまず疑うのは、便秘の症状が続いている場合です。腸内に悪玉菌が増え続けることで腸内環境が悪化し、便が黒色になるといわれています。
下痢で黒い便が出た場合には、臓器から出血が考えられます。
胃や小腸など、消化管の上部の臓器から出血していると、胃液に混ざったり大腸を通過する際に腸内細菌によって血液が分解され、赤から黒色に変化することで黒色の便が出ることがあります。
もし胃や十二指腸にストレスなどが原因で潰瘍ができている場合は、潰瘍から出血した血液が便に混ざって、「タール便」と呼ばれる黒い便が出る可能性があります。
また考えられる病気は、出血の部位によって異なります。食道の場合は食道がんなど、胃の場合は胃潰瘍、胃がんなど、十二指腸の場合は十二指腸潰瘍などが挙げられます。
黒い便が出た時に最も注意すべき病気は、上で述べたような上部消化管出血です。放置すると大量出血を引き起こしたり、胃に穴が開いたりすることもあり、なかには死に至るケースもあります。
しかし、便の色は食事の影響なども受けやすいため、黒い下痢が出たからといって必ずしも上で述べたような上部消化管出血が原因であるわけではありません。いわゆる「タール便」を見慣れた医療従事者以外は、タール便かそうでないかを見分けるのは困難でしょう。
上部消化管出血では、黒い便以外にも、めまいや動悸、息切れなどの貧血症状、腹痛、胃もたれなどの症状が見られますので、これらの症状を伴う時はできるだけ早く病院を受診するようにしましょう。
便は健康のバロメーターです。特にタール便と呼ばれる黒い便には、重大な病気が隠れている可能性があります。いつもの便と違うなと感じたら、早めに病院を受診しましょう。