記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/13 記事改定日: 2020/8/21
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心不全になると、足の浮腫(むくみ)が起こりやすいといわれていますが、これはなぜでしょうか?心不全でむくむ場所や、どのような浮腫ケアが症状改善におすすめなのかを解説していきます。
心不全の症状として、特に有名なのが浮腫(むくみ)です。なぜ浮腫が出現するのでしょうか。
まず、心不全は血液を送り出す能力が低下したことによって起こる症状と、血液のうっ滞によって起こる症状とに大別されます。このうち、浮腫は血液のうっ滞によって引き起こされるものです。
血液を送り出す能力が低下すると、心臓から前方へ血液が進みにくくなります。そうすると心臓から後方では血液のうっ滞が起こります。このメカニズムによって身体の各部分にうっ滞が起こると、浮腫の症状が出現します。
心不全の疑いがある場合の足の浮腫の特徴は、両足に症状が見られることです。特にふくらはぎからくるぶしのあたりに浮腫が見られることが多くなります。心不全で浮腫が見られる原因は右心不全に伴う静脈圧の上昇で、これにより両足の浮腫が見られやすくなります。
また、左心不全の患者さんのほとんどが右心不全を合併しているといわれるため、左心不全としか診断されていない方でも両足に浮腫が見られることが多いです。特に両足のむくみは心不全の初期症状として頻度がとても高いため、両足のむくみが見られたら心不全を疑っても良いでしょう。
浮腫のほか、心不全では次のような症状がみられます。
足の浮腫に対してどのようなケアをしていけば良いでしょうか。
マッサージ、弾性ストッキングの着用、運動、食生活の見直しが一般的な浮腫改善方法となります。まず、最も手軽にできる方法がマッサージです。
たまった水分を心臓に戻すように意識して、末梢から中枢に向かってマッサージをします。この際、揉むのではなく圧をかけながら、さするようにマッサージしていきましょう。
圧力のある弾性ストッキングで下肢を圧迫し、浮腫の改善をすることができます。
最近はドラックストアなどでも売られている弾性ストッキングですが、市販のものは医療用と比べて圧が弱かったり、段階的に圧迫することができなかったりするので、きちんとサイズを測ってもらい、医療用を使用することをおすすめします。
運動も浮腫の改善に効果があります。ウォーキングなどで下肢を積極的に動かして筋肉を鍛えると、筋肉がポンプの働きをして、下肢に溜まった水分が心臓に戻るようになります。
しかし、心不全の方の中には医師から運動を制限されていることもあるため、どのくらい動いていいかは医師に確認してから行いましょう。
水分や塩分の摂取はほどほどにして、カリウムを多く含む食品を積極的に摂っていくことも、心不全の予防に効果があります。
心不全になると血液を送り出す機能が弱くなり、下半身(下肢)に浮腫が起こりやすいといわれています。特に両足のふくらはぎやくるぶしのあたりには浮腫ができやすいので、マッサージをしたり、弾性ストッキングを着用するなどのセルフケアを行い、辛い浮腫の症状を少しでも和らげていきましょう。