記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/19 記事改定日: 2020/9/23
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
前立腺がんの治療のホルモン療法は、アンドロゲンの分泌や働きを抑制する治療法ですが、効果や治療期間について紹介します。また、副作用によって男性の体の機能にどんな影響を与えるのかもあわせて説明していきます。
「前立腺がん」のがん組織が男性ホルモンであるアンドロゲン(テストステロン)の影響を受けることから、その分泌や働きをブロックしてがんの増殖を抑えようというのが「ホルモン療法」です。ホルモン療法は、薬物療法のひとつになります。
男性ホルモンが低下することで、女性の更年期症状と似た症状も含め、さまざまな副作用があらわれます。
早期からもっとも多くみられるのが
です。
また、通常1年以内には
が起こるといわれています。また、治療法によっては
が起こる場合もあるので、定期的な検査が必要です。
その他、筋肉の減少や認知機能の低下、うつ傾向があらわれたりなどが現れることもあります。
ほとんどはホルモン療法を休止すれば改善します。しかし「女性化乳房」などそのままでは戻せない変化も起こり得ますし、前立腺がんの状態によっては治療が中止できないこともあります。身体に異常を感じたら、早めに主治医に知らせましょう。
前立腺がんの検査では、PSA検査が行われます。
PSA検査とは、前立腺に特異的なタンパク質の一種「PSA」の値を測定する採血検査です。PSAの値が高くなるに伴い、前立腺がんである確率も高くなります。また、年齢によってPSA検査の基準値が変わりますので、下記の表を参考にしてください。
PSAの値は、前立腺がんのほか、前立腺肥大症や前立腺炎でも高値になることがあります。基準値以上の値が出たときは、どの病気が原因か確定するために詳しい検査を受けましょう。
ホルモン療法の効果の持続期間には個人差があります。PSA検査の値やがんの状態などによって持続期間が変わります。
上記の人は、比較的早く効果がなくなる傾向があります。
一方で、治療を継続することで10年以上も病気の進行がない人もいます。
一般的には、ホルモン療法で病気の進行を抑えておける期間は数年です。抑えられなくなった場合には女性ホルモンの投与などで短期間の改善がみられますが、その効果もなくなると悪化していくことがほとんどといわれています。
効果が続いているかどうかはPSA検査で判断されます。
一般的には
と判断され、注射や内服薬を変更して経過をみることになります。しかし、PSA値と状態が一致しないこともあるので、定期的なCTや骨シンチグラムなどの画像診断も行いながら、総合的に判断されます。
通常、注射薬は1ヶ月もしくは3カ月に一度、黄体化ホルモンを抑制する薬剤をへその周りや大腿や上腕の皮下脂肪が多い部位に注射します。並行して内服薬を毎日服用するようにします。
注射薬のなかには、4週間間隔で投与してアンドロゲンそのものを作り出せないようにするものもあります。それぞれに似た働きを持つ内服薬もあり、それらを組み合わせて治療が進められることになります。
また、状態によっては、注射を使わず「精巣摘出術」が行われる場合があります。この治療は数日間の入院が必要となりますが、アンドロゲンの主な供給源である精巣の両側を取ってしまうため、アンドロゲンの産生を大きく抑制することができます。
前立腺がんと診断され、ホルモン療法を受ける時には日常生活の中で次のようなことに注意しましょう。
また、ホルモン療法を長く続けても、再発したり、がんが進行したりすることがあります。治療中でも必ず医師の指示に従って定期的な検査を受けるようにしましょう。
ホルモン療法の効果の持続期間は人により異なりますが一般的には数年間とされます。ホットフラッシュをはじめとしてさまざまな副作用が現れることがあります。副作用は治療の休止で大半は改善しますが、もとに戻らない変化が起こることもあります。身体に異常を感じたら自己判断で薬を止めることせず、主治医に知らせ適切な対処をしてもらいましょう。