記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/13 記事改定日: 2020/4/30
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
睡眠導入剤の効果はみなさん知っていると思いますが、具体的にどのような仕組みで眠くなっているのでしょうか。また、どんな副作用があるのでしょうか
この記事では、睡眠導入剤の効果や副作用について解説していきます。
「睡眠薬」は効果が出るまで時間がかかるが長時間持続するというという特徴があり、「睡眠導入剤」は効き目は早いが持続時間が比較的短いとことが特徴です。
睡眠導入剤は寝つきを良くするために使用される薬剤全般のことで、「超短時間型」や「短時間型」に当てはまる睡眠薬を示します。
脳内の神経伝達物質には、GABA・セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパンミン・アセチルコリンなどがあり、睡眠導入剤はこれらの働きをコントロールすることで効果を発揮しています。
最も処方されることの多いベンゾジアゼピン系の薬は、大脳辺縁系のベンゾジアゼピン受容体に働きかけることで、ノルアドレナリンやドーパミンなどの神経機能を抑制します。
これらの神経系の機能が抑えられると、不安や緊張が緩和されるため、寝つきをよくすることができます。
市販のものは睡眠導入剤ではなく睡眠改善薬と呼ばれています。病院で処方される薬と比べると副作用が少なく、効き目も穏やかです。代表的な種類は、以下の通りです。
身体を覚醒させる作用のあるヒスタミンを抑制することで、眠気を誘発する効果があります。
脳の活性を抑制することで、寝つきをよくする薬で、バルビツール酸系の薬と比較すると安全性が高いとされています。また、けいれん発作の予防薬や、麻酔前投与薬として用いられることもあります。
脳内のメラトニン受容体に働きかけて、睡眠・覚醒のリズムを整えることにより、睡眠を促す効果があります。
「オレキシン」には、覚醒状態を維持させる効果があり、オレキシン受容体拮抗薬ではその働きを抑制することで眠りを促す効果があります。
バルビツール酸系の処方薬は、使用量が多いと中枢神経を抑制してしまうため、安全面が考慮されて現在はあまり使用されなくなりました。
非ベンゾジアゼピン系脳の活性を抑制することで、寝つきをよくする薬で、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比較すると、筋弛緩(筋肉の緊張の緩みにより力が入りずらくなる)作用が少ないとされています。
睡眠導入剤に限らず、どんな薬にも副作用はあります。睡眠導入剤の代表的な副作用は以下の通りです。
睡眠導入剤は不眠改善などの効果は高い一方、副作用も多い薬です。次のような副作用が出たときは薬のタイプや量が体質にあっていない可能性があるので、必ず処方した医師に相談するようにしましょう。
また、睡眠導入剤など睡眠を誘う効果や気持ちを落ち着かせる効果がある薬は基本的にいくつかの種類を同時に多く飲むのは危険です。
複数の医療機関に通院している人のなかには、それぞれの病院で睡眠導入剤や抗不安薬などの処方を受けているケースがありますので、処方を受ける際にはお薬手帳を医師や薬剤師に見せるようにしましょう。
さらに注意したいのは、用量用法を必ず守ることです。長く不眠に悩んでいる人のなかには、睡眠導入剤の効果がすぐに現れないこともあります。このようなときに、自己判断で薬の量や回数を増やす事例が多いですが、誤った使用は思わぬ副作用を招くことがありますので絶対にやめましょう。
睡眠導入剤には不安や緊張を引き起こす神経伝達物質の働きをコントロールすることにより寝つきをよくする効果があります。ただし、効果の持ち越しによる眠気やふらつき、依存健忘などの副作用で日常生活に大きな支障が出ることもあります。
睡眠導入剤は、必ず医師や薬剤師の指示を守って服用しましょう。