溝状舌(こうじょうぜつ)とは ~ 舌の表面に溝ができていたら ~

2017/12/18

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

溝状舌とは、舌の表面にできるひび割れに似た溝のことです。数が多くなると見た目も気になり、深刻な病気を連想して受診する人もいるようです。この記事では、溝状舌の症状からケアの方法まで、基礎知識を紹介していきます。

溝状舌(こうじょうぜつ)とは

 

一般に、舌は滑らかで丸みを帯びた形をしています。味蕾(舌乳頭)という組織により全く平坦ではないのですが、指で触っても滑らかで凹凸を感じる事はまずありません。ただし人によっては舌の表面に少数、あるいは多数のひび割れに似た溝のようなものがある場合があります。これを総称して溝状舌と呼びます。多い人では舌の上(舌背部)全体に峡谷のようにギザギザした溝がある、といった状態もよく見受けられます。

舌背部全体に前後方向の多数の溝があるような場合が大半ですが、舌の脇の部分(舌縁部)に横方向の少数の溝がある場合もあります。痛みや腫れなどの自覚症状はまずありませんが、鏡で見たらひび割れていたので悪い病気を疑い受診することもあるようです。

溝状舌になった原因は?

 

遺伝性の先天性溝状舌と、全身疾患の局所症状、外傷、感染、口腔乾燥などの後天性のものがありますが、ほとんどは先天性溝状舌とされ、先天性溝状舌は形成異常、奇形、変形症に該当する疾患に分類されます。

全身疾患の局所症状の中では、反復性顔面神経麻痺の原因であるメルカーソン・ローゼンタール症候群に併発する事が知られています。他は裂傷など怪我により溝が残ったようになったものや、細菌感染後の瘢痕により形態異常が残ったものなどが原因としてあげられます。口腔乾燥により舌の形が変わる事は考え難いのですが、もともとあった溝状舌が乾燥により目立つようになったことも原因になる可能性があります。

溝状舌ができると、どんな症状が出てくる?

 

ほぼ無症状です。先天性であれば、あくまでも舌の表面の形態異常に過ぎませんので発声、味覚、嚥下など舌の諸機能には全く影響しません。

溝状舌自体のために痛みが出る、癌化する可能性はないといわれていますが、溝状舌の溝は幅が狭く、安静時には密着しているので、歯磨きやうがいによる清掃が不十分だと細菌の増殖、炎症などが生じ、口臭、痛みや運動障害などが生じる場合もあります。
また、溝があるからと舌ブラシで強くこすって痛みが出る、というケースも見られます。外傷や感染を原因とするものであれば機能障害が生じる場合もありますが、これは溝に問題があるのではなく、舌内部の筋肉の損傷によるものがほとんどです。

溝状舌だった場合に気をつけることは?

 

溝状舌の問題点は、溝の底に汚れ、舌苔がたまりやすいという事です。口臭の原因になりますので口の中を清潔に保つ事が必要になります。ただしブラシで溝の底まで清掃しようと強くこすると舌の粘膜に傷がつき、これが口臭や痛みの原因になります。必ず柔らかい舌ブラシで優しく清掃するようにしましょう。

うがい薬や洗口液も有効ですが、ほとんどのものはミントなどの清涼剤やアルコール成分が入っているため、使いすぎると口腔乾燥を生じ、逆に舌の痛みや口臭を引き起こしてしまうので注意が必要です。特にドライマウスの方は口臭も出やすいので、清掃に加えてマスクの着用、保湿ジェルの使用、保湿成分の入った歯磨き粉の使用などで保湿に努めるようにしてください。

おわりに:溝状舌で深刻な状態になることはほとんどない。ただし間違った清掃には気をつけよう

溝状舌自体が痛みや癌などにつながることはありませんが、溝に細菌が繁殖することで痛みや口臭につながる可能性があります。また、舌を強く磨きすぎて舌の筋組織を傷つけてしまい、舌の運動障害が起こる恐れもあるといわれています。細菌の繁殖を防ぐためにも、舌は柔らかいブラシで優しく磨くように心がけましょう。

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