PTSDの診断後の生活はどう変化する?症状悪化の予防法は?

2018/6/27 記事改定日: 2019/2/27
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

PTSDは、過去の辛い体験が原因でさまざまな症状が現れる心の病気です。PTSDになると、日常生活にどのように影響してくるのでしょうか。また、普段の生活では何を気をつければいいのでしょうか。
PTSDの診断基準と症状改善のためのポイントを紹介していくので、回復の参考にしてください。

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PTSDかどうかはどう診断される?

PTSDには、ショック体験が勝手に呼び起されてしまう「侵入症状」、体験に関わるものを無意識に避けてしまう「回避症状」、自分のプラスの感情、または感情そのものを切り離してしまう「解離・陰性症状」、感情が高ぶりやすくなる「覚醒症状」など、症状がいくつかあります。

PTSDは、

  • 侵入症状から1つ以上
  • 回避症状から1つ以上
  • 解離・陰性症状から2つ以上
  • 覚醒症状から2つ以上

と全領域にまたがって症状が出ていて、これらの症状が体験後から1ヶ月以上経ってもおさまらず、生活や精神に影響を及ぼしていることが診断の基準となります。ただし、心の問題は客観的な判断が難しいため、診断は慎重に行われます。

PTSDかもと思ったとき、どこに相談すればいい?

PTSDが疑われるような過去の出来事や現在の症状がある場合は、専門医による適切な診察を行った上で、それぞれに合った治療を行っていくことが大切です。

医療機関では精神科や心療内科で診てもらうことができますが、受診がためらわれる場合や家族がPTSDなのではないか?と悩んでいる場合には、以下のような機関・窓口で無料相談を利用できることがあります。精神科専門医や心理士などによるカウンセリングを行っているケースもありますので、まずはお近くの機関・窓口に相談してみましょう。

  • 保健所
  • 精神保健福祉センター
  • 自治体の保健センター
  • 各種NPOや自助グループ

また、直接出向くのが難しい場合には、「いのちの電話」など精神的な悩みを電話相談できる制度もありますので、ぜひ利用してみて下さい。

PTSD診断後に考えられる日常生活への影響は?

心に深い傷を負うような衝撃的な体験をした人が、体験から1か月以上経ってもその影響で心身や社会生活に支障をきたすことを「PTSD」といいます。
PTSDになると、辛い体験を味わったときの感情を突然思い出してしまったり、集中力がなくなったりと、さまざまな症状が現れます。自分の感情に蓋をしてしまうことで、生き生きとした日常生活を送れなくなってしまう場合もあるでしょう。不眠に悩んだり、だるくなったりと、体調面に影響牡及ぼすこともあります。

また、PTSDを治療せずに放置してしまうと、さまざまな合併症を引き起こす危険があります。精神的なストレスによるうつ病や、不安や恐怖を紛らわすためのアルコール依存などがその例です。実際、PTSD患者の80%は重度の精神疾患を併発しているという報告もあります。

PTSD診断後、症状を悪化させないためにできることは?

PTSDは心の疾患であり、特効薬があるわけではありません。症状を悪化させないためには、きっかけとなった体験との向き合い方、自分の心の在り方を変えていくことが大切になってきます。

PTSDの原因となるショックな体験は、災害や事故、他者からの暴力など、自分の力ではどうしようもない出来事が主です。
にもかかわらず、「あのときこうしていればよかった」「自分の行動がいけないんだ」というように、被害にあった自分を追い詰めてしまう傾向があります。自分を責めてしまいそうになったら、別のことをして気持ちをそらしてみるなど、悲観的にならないよう心がけましょう。

そのためには、なるべく普段どおりの生活・ペースを意識的に守ることが大切です。気を紛らわすためにお酒やタバコ、ギャンブルなどに依存してしまわないよう、生活習慣を整えるようにしましょう。睡眠や食事、仕事などの生活リズムを崩さず、適度な運動も取り入れてください。
そして、PTSDを悪化させないためには、一人で閉じこもらないことがとても大切です。体験を思い出したり、口に出したりすること自体がとても辛いことかもしれません。しかし、一人で悩まず、信頼できる人に助けを求めてください。人に聞いてもらう、または人の話を聞くことで心が軽くなることもあります。

おわりに:一人で抱え込まずにサポートを受けよう

PTSDになると、ショックな体験による影響で心や体調、生活が乱れてしまします。一人で抱え込んだり、そうなってしまった自分に罪悪感を覚えたりせずに、周囲のサポートを受けながら適切な治療を受けましょう。なるべく普段通りの生活を心がけるようにしてください。

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