記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
熱性痙攣とてんかんにはどのような違いがあるのでしょうか?また、痙攣が起きたらてんかんに移行するのでしょうか?熱性痙攣とてんかんの違いについて解説していきます。
熱性痙攣とてんかんは、以下のように症状が起こる原因が異なり、症状の特徴も違ってきます。
てんかんとは慢性的に痙攣発作が起こる脳疾患のことで、大脳にある神経細胞が過剰に興奮することで起こり、特発性てんかんと症候性てんかんに分類されます。
特発性てんかんとは、検査で異常が認められない原因不明のてんかんのことで、てんかんになりやすい要素を持って生まれることが発症要因ではないかと考えられています。
症候性てんかんとは低酸素・脳炎・髄膜炎・脳出血・脳梗塞・脳外傷などの要因が原因で発症します。
生後6ヶ月~6歳までに発症することが多い痙攣で、風邪などの感染症がきっかけで急激に体温が上がることなどが原因で、大脳が痙攣発作を起こしやすくなる状態のことをいいます。
発熱時以外にも発作が起こるてんかんとは異なり、熱性痙攣は主に発熱時に発作が起きます。
熱性痙攣とてんかん発作の症状には、下記のような違いがあります。
熱性痙攣 | てんかん発作 | |
発作が起こる時期 | 発熱時のみ | 発熱濃霧によらない |
症状の継続期間 | 乳幼児期のみ | 発症後長期間にわたり継続 |
また、てんかん発作は必ずしも痙攣が起こるとは限らず、
などの気づきづらい症状が起こることもあります。
通常の脳波は、脳波検査で細かなさざ波のような線を記録しますが、てんかんの人は「棘波」や「鋭波」という尖った波線を記録します。これは、てんかん発作のときは、脳細胞全体が興奮し電気信号を出すことで大きな電流が流れることで現れると考えられています。
ただし、脳波検査で棘波が出た人すべてがてんかんというわけではありません。
1回目の脳波検査でてんかん波が確認出来るのは約半数程度とされており、繰り返し検査をすることでてんかん発作による棘波かどうかを確認していきます。
また一般的に、てんかん波は起きている時よりも睡眠中(特に入眠時・転睡眠時)に多く発生するとされているため、てんかんの疑いがある人は覚醒時と睡眠時の脳波を調べることもあります。
基本的には熱性痙攣は6歳前後までに発症して大人になると完治しますが、以下のような症状が見られる場合はてんかんに移行する可能性があります。
以上の特徴以外にも、赤ちゃんに熱性痙攣の発作が起きた時には、髄膜炎などの脳の感染症、発達障害、神経に関係する病気の有無などを調べます。
熱性痙攣は生後6ヶ月~6歳までに発症することの多いてんかんで、発熱時以外にも発作が起こるてんかんとは異なり、熱性痙攣は主に発熱時に発作が起きます。神経学的異常がある・熱性痙攣の非定型的特徴がある・家族内にてんかんの既住歴のある人がいる場合に移行しやすいと考えられていますが、必ずてんかんに移行するわけではありません。専門医と相談しながら、適切な治療と経過観察を続けていきましょう。